政治相場が高まる中で「ドルvs資源」の戦いが激化する

著者:菊川 弘之
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 米中間選挙まで1ヶ月を切り、米国内外で政治的な駆け引きが交錯している。

 10月5日の「ニューヨーク・タイムズ」(民主党寄り)が、匿名のインテリジェンス筋の情報として「8月30日にモスクワ郊外で起きたダリヤ・ドゥーギナの殺害にウクライナ政府が関与した」との記事が掲載された。この記事が出た時には、米インテリジェンス機関のウクライナに対する(暴走)警告説が主流であったが、「MK」(ロシアの発行部数上位の日刊紙)は、ワシントンへの内部シグナルかもしれないと論じた。米中間選挙を前にバイデン政権が大きな賭けに出て、無謀な、判断に迷うような行動を取りかねないという懸念が、エスタブリッシュメント側に強まっており、ロシアへのさらなる圧力、挑発は危険だというシグナルが発せられたと説明した。この後、民主党寄りのワシントンポストが「FBIからの情報でハンター・バイデンが近々脱税と不法拳銃購入で逮捕」と報じられ、その直後に、クリミア大橋のテロ爆破が起き、ロシアによるウクライナへの報復攻撃が激化した。

 エスタブリッシュメント側が懸念する新たなカリブ危機(キューバ・ミサイル危機)が発生する可能性が急浮上するような状況だ。

 一方、停戦へ向けた動きも水面下も含めて行われている模様だ。戦争の長期化でロシアだけでなく、欧米側も深刻な兵器・弾薬の在庫不足となっている。オースティン国防長官は「兵器によっては、数週間~数ヶ月・数年かかるものもある。ウクライナにハイマースを18基追加供給するが、実際の生産・導入までに2~3年かかる」と述べている。米シンクタンクCSISは、ハイマース・ジャベリン・スティンガー・M777榴弾砲の部品の一部が入手困難で、在庫不足に陥っていると警鐘を鳴らしている。ロシア・ウクライナのいずれかが明確に優勢な局面では停戦協議が行われ難いが、膠着状況が長引けば、欧州の冬場のエネルギー問題が顕著になる前に、交渉が始まる可能性もあろう。

ウクライナ侵攻「戦況図」
 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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