政治相場が高まる中で「ドルvs資源」の戦いが激化する

著者:菊川 弘之
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 ウクライナのゼレンスキー大統領には、停戦の決定権が事実上ないと想定されることから、停戦の鍵を握るのは、米ロの直接協議・首脳会談だ。現段階では、中国共産党大会・米中間選挙と言う2大大国の政治イベントが終えた11月のインドネシアで行われるG20首脳会議(サミット)が会談の候補。

 プーチン大統領は13日にトルコのエルドアン大統領と会談した。西側諸国との協議についてトルコから提案が出た模様だ。バイデン大統領も11日に、状況次第で首脳会談の可能性も示唆(翌日、報道官が否定)している。

 ただ、米国史上最高齢のバイデン大統領の失言を報道官が火消しする頻度が高まっている中、「バイデン降ろし」とも感じられる報道(FBIが2020年大統領選直前に出たハンター・バイデンの中国、ウクライナからの莫大なカネの受領を、FBやTwitterに検閲圧力をかけた)が、リベラル派・民主党寄りメディアからも出始めている。中間選挙後に、急速にバイデン政権のレイムダッグ化が進むようなら、ロシアや中国は次期政権との交渉まで長期戦に持ち込むリスクもある。各地でプロパガンダ合戦が激しさを増す中、マーケットが金融情勢だけでなく、政治相場化するリスクにも注意したい。

 強権主義の台頭で、民主主義国家に住む人口は、今では全体の29.3%と、強権国家70.7%の半分に満たない少数派に転じている。G7はウクライナ支援を「民主主義を守る戦い」と強調するが、国連投票の結果でも民主主義陣営は押され気味で、欧米植民地支配を受けてきた新興国の賛同は得られていない。

 プーチン大統領は9月30日、「ドネツク人民共和国」、「ルガンスク人民共和国」、「ザポロジエ州」、「ヘルソン州」がロシアに加盟に関する条約に調印した際の演説で、「特別軍事作戦」当初の「ウクライナのネオナチズム」批判が後退し、「米国による新植民地主義」批判が前面に打ち出されるようになっている。

民主主義と強権主義の人口比率
 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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