週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比3.60ドル安の78.48ドル、ブレント原油は4.33ドル安の85.74ドルとなった。

 前週末の海外原油は引き続き中国のコロナ感染拡大による石油需要の減少懸念が重しとなったほか、ボストン連銀総裁がインフレはまだ高すぎる水準にあるとし、12月での0.75%の利上げの可能性を排除しないと述べたことからドル高進行したことが嫌気され軟調な推移となった。

 先週は引き続き中国のコロナ感染拡大や米利上げによる景気悪化懸念が重しとなったほか、ロシア産原油への上限価格設定の効果に懐疑的な見方が強まったことが弱材料となり軟調な推移となった。週明けは米紙WSJが12月のOPECプラス会合において日量50万Bの増産が検討されていると報じたことで一時急落したものの、その後サウジアラビアが報道を否定したことで切り返すと下げ幅を縮小する展開となった。翌22日は前日の報道が否定されたことで買い戻しが入ると、サウジエネルギー相が追加減産を示唆したことから堅調な推移となった。翌23日はG7がロシア産原油への上限価格設定を65~70ドルのレンジで検討していると伝わったことが重しとなり軟調な推移となった。現在のロシア産原油はこの価格帯を下回る水準で取引されており、上限価格が設定されてもロシア産原油の輸出はほとんど減らないとの思惑が強まり、供給懸念が後退した格好となった。翌24日は米国が感謝祭で休場となる中で薄商いとなったが、引き続きロシア産原油の価格上限設定を巡り供給懸念が後退したことが重しとなったほか、中国のコロナ感染拡大が重しとなり小幅に続落する展開となった。

原油チャート

 今週の原油相場は戻り基調継続で直近安値を試す展開が想定されそうか。来月5日から発動されるロシア産原油の海上輸入禁止と合わせて、G7が同国産原油に価格上限を設ける措置を発動するものの、65~70ドルのレンジで検討されていると伝わったことで実効性が危ぶまれている。詳細はいまだ不明だが、現在のロシア産原油がこの価格帯を下回る水準で取引されているため、仮にこのレンジでの発動となればロシアの輸出はほとんど減らないとみられている。また、中国では引き続きコロナ感染が拡大しており、一部の都市ではロックダウンが再導入されていることも重しとなりそうだ。一方で4日にOPECプラス会合を控える中で減産が検討されていることは支えとなりそうであり、減産で合意することがあれば切り返して再度高値を目指す展開も想定されそうか。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。