[Vol.2001] 急騰はなくても「原油高・物価高」が続く可能性あり

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。65.86ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの反発などで。3,301.15ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。25年09月限は14,045元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。25年08月限は498.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1942.35ドル(前日比5.85ドル縮小)、円建てで9,382円(前日比80円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(6月27日 17時47分時点 6番限)
15,397円/g
白金 6,015円/g
ゴム 314.3円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 2,024円/mmBtu(25年9月限 6月24日15時01分時点)

●NY原油先物 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物 日足  単位:ドル/バレル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「急騰はなくても『原油高・物価高』が続く可能性あり」
前回は、「ホルムズ海峡封鎖はあるのか?」として、イランの原油輸出先(2023年)を確認しました。

今回は、「急騰はなくても『原油高・物価高』が続く可能性あり」として、米国CPIのエネルギー(実数値)とNY原油先物(月足 終値)を確認します。

以下のとおり、原油相場は米国の消費者物価指数(CPI)のエネルギーも部門と高い連動性を維持しています。仮に今後、イスラエルとイランどちらかが合意を破り、攻撃を仕掛け、中東情勢の緊迫化した場合、以前の「[Vol.1997] 急反発する原油相場」で述べたレンジの上限である95ドル付近に達する可能性が生じます。その時、CPIの高止まりも避けられないでしょう。

中東情勢の緊迫化は、米国だけでなく、日本で暮らすわれわれの生活にも、多大な影響を与える事象です。中東という非西側の論理で動く国々の情勢は、大変に読みにくい傾向があります。くれぐれも、「イランは自制心を取り戻してくれるだろう」などといった、西側の論理・常識で事態を考えることがないように、気を付けなければなりません。

図:米国CPIのエネルギー(実数値)とNY原油先物(月足 終値)
図:米国CPIのエネルギー(実数値)とNY原油先物(月足 終値)
出所:米労働省および世界銀行のデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。