[Vol.1406] インフレ峠超え、「米国」にその兆しあり

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。81.77ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの反落などで。1,939.85ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所) 春節のため休場。

上海原油(上海国際能源取引中心) 春節のため休場。

金・プラチナの価格差、ドル建てで879.35ドル(前日比7.05ドル拡大)、円建てで3,741円(前日比9円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(1月24日 17時30分頃 6番限)
8,084円/g
白金 4,343円/g
ゴム 232.5円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「インフレ峠超え、『米国』にその兆しあり」
前回は、「日本ではインフレでぜいたく縮小観測も!?」として、2人以上の世帯のうち勤労者世帯(各年11月)の基礎的および選択的支出について、書きました。

今回は、「インフレ峠超え、『米国』にその兆しあり」として、主要国のインフレ率(年平均、前年同期比)について、書きます。

前回述べたとおり、日本国民の生活に深刻なダメージを与えているインフレですが(ぜいたくの縮小は精神的なダメージにつながりかねない)、他の国はどのような状況でしょうか。

需要増加が原因で起きるインフレ、「ディマンド・プル型」のインフレは、需要増加が起きている国や地域で発生し得ます。しかし、足元のインフレは、原材料価格(≒国際商品価格)が上昇していることで発生している「コスト・プッシュ型」であるため、幅広い国や地域で発生しています。

以下のグラフは、欧州の主要国である英国とドイツ、そして米国、日本のインフレ率の推移です(2022年と2023年は、IMFの見通し)。ウクライナ危機元年となった2022年は、四ついずれの国でも、高水準のインフレに見舞われたもようです。

では2023年は、どうでしょうか。IMF(国際通貨基金)の見通しによれば、英国とドイツは高水準のまま、米国は同危機前の2021年よりも低水準まで、インフレが低下することが見込まれています。

IMFは、2023年は、国や地域によってインフレの大きさが異なる年になると、言っているのです。

ウクライナ危機起因のエネルギーの需給ひっ迫が起きている欧州主要国では、危機が終息する見通しが立たず、まだまだインフレが続くことが示されている、一方、2022年に「3倍速」と揶揄(やゆ)された、急速な利上げが一定程度、効果を示し始めたとみられる米国では、インフレは峠を超え、沈静化に向かい始める、というシナリオだとみられます。

図:主要国のインフレ率(年平均、前年同期比)2022・2023年はIMFの予測値


出所:IMF(国際通貨基金)のデータをもとに筆者作成

 

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このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。