[Vol.1405] 日本ではインフレでぜいたく縮小観測も!?

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。81.87ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,924.60ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所) 春節のため休場。

上海原油(上海国際能源取引中心) 春節のため休場。

金・プラチナの価格差、ドル建てで872.9ドル(前日比7.5ドル縮小)、円建てで3,691円(前日比27円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(1月23日 17時53分頃 6番限)
8,001円/g
白金 4,310円/g
ゴム 232.5円/kg
とうもろこし 43,920円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「日本ではインフレでぜいたく縮小観測も!?」
前回は、「価格水準が高すぎて脱落した銘柄は一つ」として、4つの貴金属の価格変動を、確認しました。

今回は、「日本ではインフレでぜいたく縮小観測も!?」として、2人以上の世帯のうち勤労者世帯(各年11月)の基礎的および選択的支出について、書きます。

毎日のように、「インフレ」「物価高」という言葉を見聞きします。スーパーマーケットで「特売」が行われる頻度が極端に減った。ガソリンスタンドの看板で示される価格が高水準のままなかなか下がらない、毎月確認する電気代が上がり続けている、など、身近なところで「インフレ」の影響を、肌で感じます。

総務省統計局の家計調査のデータによれば、「食料」の1カ月あたりの支出額は、この10年間でおよそ2割、金額にするとおよそ1万3000円、増えています。(各年11月)

この10年間というと、消費税が2度、引き上がりました。足元の食料の支出額は、こうした増税を踏まえた上で、なお、増えています。現在直面している、原材料(エネルギーや農産物)価格高起因のインフレ(コスト・プッシュ型のインフレ)が主因です。

また、以下の図は、基礎的支出(必需品的なもの。食料、家賃、光熱費、保健医療サービスなど)と、選択的支出(ぜいたく品的なもの。教育費、教養娯楽用耐久財、月謝類など)の推移です。

「アベノミクス(第2次安倍政権時の経済政策)」によって、景気回復期待が大きく膨らんだ2013年ごろは、選択的支出(ぜいたく品的な支出)が基礎的支出(必需品的な支出)を上回っていました。しかし、直近の2度の消費税増税を機に、基礎的支出増加・選択的支出減少の傾向が目立ち始めました。

そして足元、インフレによって、基礎的支出はさらに増え、選択的支出はさらに減っています。増税並み(基礎的支出の増え方を見ればそれ以上)のインパクトを持つ、足元のインフレにより、日本の世帯の多くは、「ぜいたくの縮小」を余儀なくされていると、言えます。

図:2人以上の世帯のうち勤労者世帯の基礎的および選択的支出(各年11月) 単位:円
図:2人以上の世帯のうち勤労者世帯の基礎的および選択的支出(各年11月)

出所:総務省統計局のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。