[Vol.1412] 金(ゴールド)価格の変動を決める7テーマ

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。79.11ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反落などで。1,939.85ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年05月限は13,180元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年03月限は551.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで927.15ドル(前日比2.95ドル拡大)、円建てで3,834円(前日比7円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(2月1日 18時02分頃 6番限)
8,028円/g
白金 4,194円/g
ゴム 229.1円/kg
とうもろこし 43,810円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「金(ゴールド)価格の変動を決める7テーマ」
前回は、「『ドル建て価格』が価格形成における最上流」として、「ドル建て金価格」と「国内地金大手小売価格(税抜)」と「円建て換算値」の相関係数を確認しました。

今回は、「金(ゴールド)価格の変動を決める7テーマ」として、筆者が考える金(ゴールド)市場を取り巻く七つのテーマについて、述べます。

前回、特に長期視点の金(ゴールド)投資においては、「ドル建て金価格」の動きに注目することが必要だと述べました。その「ドル建て金価格」は、どのような要因で動いているのでしょうか。

以下は、筆者が考える、「短中期」「中長期」「超長期」の三つの時間軸ごとの、金(ゴールド)相場に影響を与え得る七つのテーマです。

有事の金買い(有事ムード)だけ、株と金(ゴールド)の関係(代替資産)だけ、ドルと金(ゴールド)の関係(代替通貨)だけ、など、どれか一つのテーマだけで、現代の金相場を正しく分析することはできません。

ウクライナ危機勃発、高インフレ継続、FRB(米連邦準備制度理事会)による急速な利上げ、中国の景気減速、各種人権問題噴出など、不安材料に事欠かなかった2022年の金相場(ドル建て)が下落したことから分かる通り、「有事だけ」では現代の金相場を分析することはできません。(もし今も、有事だけで金(ゴールド)価格が動くのであれば、2022年は急騰していたかもしれない)

2022年の下落は、不安材料が噴出したことによる「有事ムード」増幅と株価が不安定化したことによる「代替資産」起因の上昇圧力を相殺して余りある、強い下落圧力が存在していたために起きたと、考えられます。その強い下落圧力は、FRBの急速な利上げがきっかけで発生したドル高(「代替通貨」起因の下落圧力)によってもたらされました。

(1)テーマを俯瞰(ふかん)すること、(2)複数のテーマ起因の圧力を相殺すること、この二つなくして、現代の金(ゴールド)相場を分析することはできないのです。

図:金(ゴールド)市場を取り巻く七つのテーマ
図:金(ゴールド)市場を取り巻く七つのテーマ

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。