[Vol.1411] 「ドル建て価格」が価格形成における最上流

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。76.82ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,905.90ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年05月限は13,220元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。23年03月限は540.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで900.75ドル(前日比1.55ドル縮小)、円建てで3,809円(前日比7円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(1月31日 17時51分頃 6番限)
7,975円/g
白金 4,166円/g
ゴム 232.3円/kg
とうもろこし 43,730円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「『ドル建て価格』が価格形成における最上流」
前回は、「国内金(ゴールド)小売価格は最高値を更新」として、国内の金(ゴールド)税抜小売価格の推移を確認しました。

今回は、「『ドル建て価格』が価格形成における最上流」として、「ドル建て金価格」と「国内地金大手小売価格(税抜)」と「円建て換算値」の相関係数を確認します。

円建て商品の価格決定プロセスを「川の流れ」に例えると、「川上」にドル建て価格があり、「川中」でドル/円の変動による影響を受け、「川下」で円建て価格が決定する、となります。

水の流れは、川上から川下へ、ですので、「円建て価格」は、川上側にある「ドル建て価格」と「ドル/円相場」によってつくられていると、言えます。

「円建て価格」の変動が「ドル建て価格」や「ドル/円」を動かす、いわゆる「逆流」するケースは、あまり(ほとんど)ありません。

「ドル建て」が主、「円建て」が従、ドル/円がその関係に強弱を加える、とまとめることができます。このことを裏付けるのが、以下のデータです。以下は、「ドル建て金価格」と「国内地金大手小売価格(税抜)」と「円建て換算値」の相関係数です。

相関係数は、1に近ければ近いほど「正の相関(一方が増えればもう一方も増える)」が強く、マイナス1に近ければ近いほど「負の相関(一方が増えればもう一方は減る)」が強いことを意味します。

「円建て理論値」は、ドル建て価格 × ドル円 ÷ 31.1035(トロイオンスをグラムに換算)で計算しています。長期を前提とするため、相関係数の対象期間は1974年1月から2022年12月までのおよそ48年間としています(月間平均価格を参照)。

「国内地金大手小売価格(税抜)」と「円建て換算値」の相関係数が「0.99992(二つの値動きはほぼ一致)」であることから、「国内地金大手小売価格(税抜)」は、「ドル建て金価格」と「ドル/円相場」でできていると言えます。国内価格が国内の独自要素で動くことはほとんどない、とも言えます。

また、「ドル建て金価格」と「国内地金大手小売価格」の相関係数が「0.90409(二つの値動きはおおむね一致)」であることから、長期投資においては、保有する金関連商品が円建てであっても、「ドル建て価格」を指標(参考値)とするべきであると、言えます。

図:相関係数(1974年1月から2022年12月までの月間平均価格をもとに算出)
図:相関係数(1974年1月から2022年12月までの月間平均価格をもとに算出)

出所:国内大手地金商のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。