「10大リスク」から2023年の商品市場を読む(3)

著者:菊川 弘之
ブックマーク
 ロシアが今にも戦争に負け、ウクライナが領土回復するような印象を与える西側メディアのプロパガンダ報道と異なり、実体はロシア制裁の影響は限定的。

 より多くの被害・影響を受けているのは、ウクライナ国民で、戦闘が長引けば長引くほど、ウクライナ国民の疲弊は進む。米英を中心とする欧米の武器は供与するが、実際の戦闘(戦争)には参加せず、の姿勢が続く限り、ウクライナの勝利はなく、ロシア・ウクライナがスラブ人通しの殺し合いを通じて、時間をかけて衰退する流れとなる。米国の目的は、ウクライナの勝利ではなく、ロシアの疲弊である。

 これと同じ構図を、アジアでも起こそうとする動きが水面下で観測されるが、このような仕掛けに安易に乗るべきではないとの論調は、台湾中心に強い。日本では台湾有事に乗じて無責任な政治家の勇ましい言葉が飛び交うが、台湾では「米国は武器を売るが、参戦しない。アジア人通しの殺し合いを通じて、中国を疲弊させるのが目的で、台湾を守る気などない」との見方も強い。

 意図的な対立軸を作る動きに騙されてはいけない。

(7)Arrested global development:世界的発展の急停止

 気候変動は、異常気象がサプライチェーンや貿易形態を混乱させ、食糧やエネルギー市場にストレスを与え、脅威を増大させる。

 金融市場だけでなく、気候変動も50年振り・100年振りと言うような異常気象が頻発しており、商品市場の供給懸念や、金への安全資産への投資に繋がりやすい。

ロシアとウクライナGDP四半期前年比

 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

https://www.nstrading.co.jp/

http://market-samurai.livedoor.biz/