「10大リスク」から2023年の商品市場を読む(3)

著者:菊川 弘之
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 今回も、ユーラシアグループ「10大リスク」を基に、今年のマーケットに与える影響を探ってみたい。

(6)Energy crunch:エネルギー危機

 10大リスクでは、「年末までに原油価格は1バレル100ドル以上に上昇するだろう。」と指摘した。2023~24年の冬に備えて欧州が十分なガス供給を確保しようとする中でガス価格が高騰すれば、南アジアや東南アジアのエネルギー需要の高い国は2023年の長期にわたって、LNG市場から締め出されたままとなる。

 要するに、この冬のエネルギー市場の安息は一時的なもので、台風の目のようなものだ。いずれ新たなエネルギー危機が消費者に圧力をかけ、政府の財政負担を生み、先進国と途上国、米国と湾岸諸国間の対立が深まる。と「10大リスク」では指摘された。

 足元の原油市場は、天然ガスの下落もあり、200日移動平均線に上値が抑えられている。米エネルギー情報局(EIA)が1日発表した週間の石油在庫統計で、原油在庫は横ばいとの市場予想に対して増加したことが引き続き売りを誘ったほか、主要国の景気悪化懸念が重しとなっている。インフレ抑制のため英中銀や欧州中央銀行(ECB)は0.50%の追加利上げを決定しており、金利負担はさらに拡大する。

 2月5日から欧州連合(EU)がロシアからの石油製品の輸入を原則禁止するが、供給ひっ迫懸念は限定的。ロシア産石油製品の価格上限設定については、まだ合意に至っておらず、EUは3日も協議を続ける。

NY原油チャート
 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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