「10大リスク」から2023年の商品市場を読む(4)

著者:菊川 弘之
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(9)Tik Tok boom:Tik TokなZ世代

 ボタンをクリックするだけで世界中の多国籍企業の活動を困難に陥れ、政治を混乱させることができる。先週、CFTC建玉明細は、サイバー攻撃により発表延期。

(10)Water stress:逼迫する水問題

 2022年、水位低下はアフリカの食糧危機を悪化させ、ヨーロッパでは海運や原子力発電を停止させ、中国では工場の閉鎖につながった。また、水不足によって、米国では西部の州が給水制限を余儀なくされ、中南米では社会不安が高まった。

 2023年の予測はさらに悪化している。河川では最低水位を記録し、世界の企業の3分の2が事業やサプライチェーンにおいて重大な水リスクに直面することになる。

 穀物市場中心とした供給障害が材料視されるだろう。

 「10大リスク」に加えて、リスクもどき(Red herrings)として、

・Cracks in support for Ukraine:ウクライナ支援に亀裂

 英米と欧州の間で、ウクライナ支援に対する温度差が広がっている。以前からウクライナには酷い汚職の歴史があり、各国の腐敗・汚職に取り組む非政府組織トランスペアレンシー・インターナショナルの2022年の汚職国家ランキングでは180カ国中116位とされている。ロシアの侵攻長期化に伴い膨大な国際支援が流れ込むウクライナで、供与された武器や物資、支援金が適切に管理されず、一部が私腹を肥やすために使われるとの懸念は以前から指摘されていた。欧州刑事警察機構(ユーロポール)は、2022年7月「確立された密輸ルートやオンラインプラットフォームを通じ、ウクライナから欧州連合(EU)域内に武器や爆発物が横流しされる恐れが高い」と警告を発している。

・EU political dysfunction:機能不全化するEU
・Taiwan crisis:台湾危機
・Texh Tit-For-Tatt:技術をめぐる米中報復合戦

腐敗認識指数 国別ランキング

 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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