[Vol.1417] 金(ゴールド)価格、長期上昇の「芽」出ている

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。78.33ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,898.00ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年05月限は12,650元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年03月限は544.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで902.25ドル(前日比3.65ドル拡大)、円建てで3,765円(前日比22円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(2月8日 17時54分頃 6番限)
7,912円/g
白金 4,147円/g
ゴム 225.8円/kg
とうもろこし 43,610円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「金(ゴールド)価格、長期上昇の『芽』出ている」
前回は、「金(ゴールド)保有を拡大させている国はどこ?」として、金(ゴールド)保有増加国上位とそれらの国の自由民主主義指数を、確認しました。

今回は、「金(ゴールド)価格、長期上昇の『芽』出ている」として、自由民主主義指数が0.4以下および0.6以上の国の数を、確認します。

以下は、「自由民主主義指数」が0.4以下の非民主的な国々の数(灰色の線)と、0.6以上の民主的な国々の数(青色の線)の推移です。東西冷戦(第二次世界大戦後から1990年前後まで)時は、「非民主的」な国が多かったことがわかります。

しかし、1990年代前半以降、冷戦終結、EU(欧州連合)発足などを機に、次第に民主的な国々が増えていきました(民主主義が、両手放しで優れていると語られはじめた時期)。

しかし、そうした時代は長くは続きませんでした。FRBが大規模な金融緩和を停止すると宣言したことで、米国がきっかけで景気後退が進む懸念が生じ、どことなく「米国頼み」や「米国一強」が終了するムードが高まったり、中東・北アフリカ地域で「アラブの春」が起き、SNSでつながった非民主国家の民衆が蜂起する懸念をはらんでいることが明るみに出たりしたことが一因で、2010年以降、民主的な国々が減少し始め、同時に非民主的な国々が増加し始めました。

さらに2016年、英国でEU離脱を問う国民投票で離脱が決定したり、米国でトランプ氏が米大統領選で勝利したりしたことで、非民主的国家増加・民主的国家減少に拍車がかかりました。

前回取り上げた、トルコ、インド、ポーランド、タイ、ハンガリー、ブラジルは、この時期、自由民主主義指数が0.17から0.41という比較的大きな規模で低下しました。もともとポーランドとブラジルは同指数が0.80を超える、非常に民主的な傾向が強い国でした(2013年時点)。ハンガリーとインドも0.60に近い値でした。

世界的な「非民主化」の流れに飲まれるように、こうした国々の複数で独裁色が強いリーダーが生まれ(例えば、トルコのエルドアン大統領、ブラジルのボルソナロ大統領(当時)、ハンガリーのビクトル首相など)、同指数が下がり、同時に金(ゴールド)の保有が増えたわけです。

図:自由民主主義指数0.4以下および0.6以上の国の数(1970~2021年)
図:自由民主主義指数0.4以下および0.6以上の国の数(1970~2021年)

出所:V-Dem研究所のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。