いかに投資から抜け出すか

著者:近藤 雅世
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 30歳、40歳、50歳、60歳から老後資金として2000万円貯める方法についてのセミナーがいよいよ今週と来週に迫った。前半のレジメはすでに送付してある。残念ながらその骨子はセミナーが無事終わるまで言うことはできないが、このテーマで長い間、頭をひねってかなり真剣に考えた。なかなか難しい課題である。今のままだと老後資金は年金だけでは月に5万円ほど不足するというのが政府の試算である。

 資産を形成するに必要なのは時間である。30歳なら2000万円を貯蓄するには十分時間があるが、年を経るにしたがって単純な貯蓄では間に合わなくなる。そうなると投資ということを考えざるを得ない。株式投資、債券投資、為替、不動産、骨とう品等多くの資産運用があるが、その中で最もハイリスクハイリターンなものが商品先物である。

 人の資産を預かって殖やすことを業とするファンドマネージャーは、もっぱら先物取引を利用している。なぜなら、少ない資金で大きく儲かり、売りからでも入ることができ、ボラティリティーが高いので、短期間の収益機会が多いためだ。株式などの現物投資だと、価格が上がるのに時間がかかるため、株式投資の場合はデイトレーダーになって短い時間で多くの取引をするようになる。いずれもリスクは高くなる。

 私が経験上思うのは、先物取引をいつやめるかというタイミングの計り方が最も難しいと思う。私は100万円を単位として投資していたが、100万円で利益が出ると30万円単位で出金していた。そのため、100万円の資金が無くなっても、トータルではそれほど負けなかった。ただ、30万円儲かった時に、すぐに使ってしまうことが問題であり、先物取引で資産を殖やすことはできなかった。東京商品取引所が主催するリアルトレードコンテストで、優秀な成績を収める人が多いが、最後まで勝ち続けて市場から去る人はいかほどであろうか。その辺りが最も難しい先物取引による資産運用だと思う。

 

このコラムの著者

近藤 雅世(コンドウ マサヨ)

1972年早稲田大学政経学部卒。三菱商事入社。
アルミ9年、航空機材6年、香港駐在6年、鉛錫亜鉛・貴金属。プラチナでは世界のトップディーラー。商品ファンドを日本で初めて作った一人。
2005年末株式会社フィスコ コモディティーを立ち上げ代表取締役に就任。2010年6月株式会社コモディティー インテリジェンスを設立。代表取締役社長就任。
毎週月曜日週刊ゴールド、火曜日週刊経済指標、水曜日週刊穀物、木曜日週刊原油、金曜日週刊テクニカル分析と週間展望、月二回のコメを執筆。
毎週月曜日夜8時YouTubeの「Gold TV Net」で金と原油について動画で解説中(月一回は小針秀夫氏)。
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