[Vol.1429] 今、コモディティ価格の確認は市民の必須タスク

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。76.74ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,816.75ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年05月限は12,495元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年04月限は547.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで903.6ドル(前日比5.60ドル縮小)、円建てで3,923円(前日比13円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(2月27日 18時13分頃 6番限)
7,914円/g
白金 3,991円/g
ゴム 223.6円/kg
とうもろこし 43,880円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「今、コモディティ価格の確認は市民の必須タスク」
前回は、「この3カ月間の価格動向は今後の伏線」として、筆者が考える、危機を起点とした最近3カ月間のコモディティ市場を取り巻く環境について、述べました。

今回は、「今、コモディティ価格の確認は市民の必須タスク」として、筆者が考える、コモディティ(国際商品)価格の意味について、述べます。

なぜ、わたしたちは、コモディティ(国際商品)価格の動向に注目しなければならないのでしょうか。コモディティ価格は、社会のありとあらゆる分野と関りがあります。このため、コモディティ価格の動向に関りがない人はほとんどいません。

家計における、光熱費、食費などの基礎的支出(必需品のための支出)の額は、コモディティ価格が上下することで変動します。特にウクライナ危機勃発以降、わたしたちは、原油やLNG(液化天然ガス)の価格上昇が光熱費を増加させたり、小麦、トウモロコシ、食用油などの価格上昇が食費を増加させたりしていることを、感じています。

企業においては、例えばパンなどの食品を製造する会社や、自動車や電子部品などの各種工業製品を製造する会社の原材料の仕入れ額は、農産物、金属、エネルギーなどのコモディティ価格の動向に影響を受けます。また、運送用の燃料代、工場や事務所を稼働させるための電気代も、コモディティ価格の動向に影響を受けます。

冒頭で述べた「なぜ、わたしたちは、コモディティ価格に注目しなければならないのか?」という問いの答えは、コモディティ価格の変動が、わたしたちの暮らしのコストを増減させるため、です。

コモディティ価格は、個人や企業の活動に影響を与えるだけでなく、政治・経済・社会動向を変化させる「原因」になることがあります。逆に、経済指標として世界経済の状況を示したり、人口増加や生活スタイルの変化を反映したりする「結果」となることもあります。

「原因」と「結果」に加えて、投資の「機会」にもなり得ます。コモディティ価格の変動が、関連する投資商品の価格を、引いてはそうした投資商品を保有している投資家の資産の額を変動させるのです。

図:コモディティ(国際商品)価格の意味
図:コモディティ(国際商品)価格の意味

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。