[Vol.1463] 「優等生」でなくなった「鶏卵」

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。82.06ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。2,022.05ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。23年09月限は11,905元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年06月限は593.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで963.35ドル(前日比1.55ドル拡大)、円建てで4,241円(前日比12円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(4月17日 17時15分頃 6番限)
8,645円/g
白金 4,404円/g
ゴム 211.0円/kg
とうもろこし 42,900円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●シカゴトウモロコシ先物(期近) 日足  単位:ドル/ブッシェル
シカゴトウモロコシ先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「『優等生』でなくなった『鶏卵』」
前回は、「『高インフレ』『銀行不安』は危機鎮静化で終息」として筆者が考える「高インフレ」「銀行の連鎖不安」の根本原因を、述べました。

今回は、「『優等生』でなくなった『鶏卵』」として、鶏卵小売・卸売価格および飼料価格の推移について、述べます。

長く、「物価の優等生」と言われてきた「鶏卵価格」は、以下のとおり2022年夏ごろから急騰状態にあります。

「物価の優等生」とは、社会情勢の変化に影響されず、価格水準がほとんど変わらない様子を言い表した言葉です。確かに、急騰が始まる前の20年間を見ても、大きな変動はありませんでした。

しかし、2022年夏ごろから、急騰状態にあり、足元の価格は小売価格で428円(1キログラムあたり)、卸売価格で343円(同)です。小売価格は急騰直前(2022年8月)比、21%、卸売価格は68%、上昇しています。

「鳥インフルエンザ」が蔓延(まんえん)し、品不足になったことが主な要因だと報じられています。しかし、「優等生が優等生でなくなるほどの急騰劇」は、病気の蔓延といった比較的短期視点の要因だけでは起き得ないと、筆者は考えています。

グラフ下部に記載した「飼料(エサ)の価格」が、2021年頃からじわじわと上昇していたことがわかります。今回の「優等生が優等生でなくなるほどの急騰劇」は、少なくとも二段構造で起きていると考えられます。鳥インフルエンザ蔓延(一段目)、飼料価格高騰(二段目)という構図です。

今回の急騰劇はどうなれば終わるのか?という問いには、急騰の背景である二段構造が崩れれば終わる、と答えることになるでしょう。次回以降、価格が長期上昇トレンドに入りつつある「飼料(エサ)」について、述べます。

図:鶏卵小売・卸売価格および飼料価格の推移 単位:円/キログラム
図:鶏卵小売・卸売価格および飼料価格の推移

出所:日本養鶏協会および農畜産業振興機構のデータをもとに筆者作成

 

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このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。