貿易問題が過熱化する米中欧の石油消費量は世界全体の35%程度

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反落。主要株価指数の反落などで。52.55ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,505.70ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年01月限は11,430元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。19年11月限は440.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで620.4ドル(前日比4.3ドル拡大)、円建てで2,112円(前日比29円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(10月8日 18時36分頃 先限)
 5,153円/g 白金 3,041円/g 原油 35,910円/kl
ゴム 158.2円/kg とうもろこし 24,170円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「貿易問題が過熱化する米中欧の石油消費量は世界全体の35%程度」

今回は「貿易問題が過熱化する米中欧の石油消費量は世界全体の35%程度」として、米中、そして最近米国との間で貿易問題が過熱化しつつある欧州の石油消費量を確認します。

今月に入り、米国と欧州の航空機をめぐる貿易問題が報復関税を課す事態に発展したことで、目立って米欧の貿易問題が取り沙汰されるようになりました。

思い起こせば昨年5月ごろから、米国と中国の貿易戦争が激化し始めました。

もともと、米国による関税の引き上げは、米国が中国による知的財産権の侵害や技術移転の強要などの重大な問題への具体的な対応として行われたと言われています。

中国はこれに応酬し、関税引き上げ合戦が激化していきました。

また、米国によるZTEやファーウェイなどの中国の個別企業への制裁、中国による米国産大豆など特定品目の不買なども、貿易戦争の一環と言えます。

貿易戦争は関税の引き上げ合戦だけではない、ということです。貿易戦争が激化すれば、さまざまな事で相手を不利に(自分を有利に)する手段を講じ合う展開になります。

このように考えれば、米欧の貿易問題も、今後、航空機をめぐる問題への論争や関税の引き上げだけでなく、関税の引き上げ合戦、特定品目の不買、特定企業への制裁、などに発展する可能性があります。

貿易戦争の規模が大きくなれば当該地域の景気減速、そして石油消費減少が懸念されます。

以下の通り、特に米国と中国の石油消費量は年々増加傾向にあります。この3つの地域の石油消費量は全体のおよそ35%です。

米国との貿易問題が激化し、中国と関りが深い欧州の景気が減速すれば、欧州の中国製品を購入する力が減退し、中国の景気減速がさらに加速する可能性もあります。

問題が大きくなると、世界全体の石油消費が減少する懸念があります。まずは、今週10日から11日に行われる米中の閣僚級協議に注目したいと思います。

図:米・中・欧の石油消費量 単位:百万バレル
図:米・中・欧の石油消費量

出所:EIA(米エネルギー省)のデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。