週刊石油展望

著者:三浦 良平
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先週末のWTI原油は前週比0.50ドル安の72.03ドル、ブレント原油は0.27ドル安の76.33ドルとなった。

前週末の海外原油は米債務上限引き上げを巡る米政府と米議会の協議が不調に終わり、デフォルト懸念が高まったことが重しとなり軟調な推移となった。

先週はOPECプラスの動向や需給動向などを見据えて上下する展開となった。週明けは夏のドライブシーズン入りを控える中でガソリン需要拡大への期待感が高まったほか、16日までのOPECプラスの原油輸出が日量170万B減少したと伝わったことが支えとなり堅調な推移となった。翌23日もガソリン需要の拡大期待が高まっていることが支えとなったほか、サウジエネルギー相が6月4日にOPECプラス会合を控える中で、売りポジションを持つ投機筋は痛い目を見ると警告したことが材料視され堅調な推移となった。翌24日はEIA統計において原油やガソリン在庫が大幅減少したことが好感されたほか、前日のサウジエネルギー相の発言も引き続き支えとなり堅調な推移となった。週末にかけてはも反り売りの動きが強まると、ロシアのノバク副首相がほんの1カ月前に一部の国が自主減産を決定したばかりであり、OPECプラスによる追加減産の可能性は低いだろうと指摘したことが重しとなり軟調な推移となった。

NY原油チャート

今週の原油相場はOPECプラス会合などイベントを控える中で様子見姿勢が強まりそうか。米債務上限問題では、解決できないと早ければ1日にもデフォルトに陥る可能性がある中で早期の解決が焦点となる。引き続き協議は続いており、解決に向かえば安心感から上昇する展開も想定されそうだが、格付け会社が米国債の格下げを示唆するなど、このところの米地銀を中心とした信頼頼低下もあわせて潜在的な懸念材料となりそうか。OPECプラス関連ではサウジエネルギー相が売方投機筋に警告するなど減産を匂わせる一方でロシアは追加減産の可能性は低いだろうと発言しており、ロシアとサウジの思惑がすれ違う中でOPECプラスの結束の乱れが警戒されていることは重しとなりそうだ。ただし、週明けから米国がドライブシーズン入りとなり、ガソリン需要の増加期待が高まっていることは支えとなりそうであり、WTIベースで68~76ドルのレンジ内での動きが想定されそうか。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。