スーパーエルニーニョ発生!! インフレ再燃も

著者:菊川 弘之
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 酷暑や豪雨、干ばつなど世界各地の異常気象の原因とされる「エルニーニョ現象」が4年ぶりに発生した。同現象は南米ペルー沖の海面水温が高くなるもので、2018年秋~19年春以来4年ぶりの発生で、夏では15年以来8年ぶりとなる。

 しかも今回は、より威力の強い「スーパー・エルニーニョ」に発達するとみられている。気象庁によると赤道域の海水に、1949年以降では月の平均海面水温差が最大3・6度と最も高かった97年春~98年夏に匹敵するほど熱量がある。

 82年から83年に「スーパー・エルニーニョ」が発生した時期には、穀物価格が軒並み上昇。

 93年は日本で記録的冷夏と日照不足の影響で「平成の米騒動」と呼ばれる深刻な米不足に陥った。

 スーパー・エルニーニョにはならなくとも、エルニーニョ現象・ラニーニャ現象が発生すると、異常気象懸念から穀物市場は、上値リスクが高まる傾向がある。

 米国立気象庁(NWS)発表の3か月予報は、米産地では土壌水分が乾燥した状態が根強く残る可能性が示されている中、ここまで米国産穀物の豊作を織り込みながら、戻り売りが続き、例年なら買いが囃されやすい天候相場期にも関わらず、コーンなどの大口投機玉は売り越しとなっていた。

 先週は、米コーンベルトで高温乾燥の天気が続き、干ばつ被害が拡大するとの懸念で一気に天候相場の様相を呈し、急反騰となっている。今年と同じように豊作を織り込みながら大口投機玉が売り越しとなった2020年を振り返ってみると、天候相場の天王山と呼ばれる「独立記念日(7/4)」前後に、産地のホット&ドライを受けて、売り方の踏み上げ相場となった。

 毎週発表される作柄報告では「優」と「良」の合計が、豊作基準の70%を割り込んできた。作柄報告で「良」以上がさらに低下し、60%割れとなると、凶作ムードとなる。


 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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