週刊石油展望

著者:三浦 良平
ブックマーク
 先週末のWTI原油は前週比0.88ドル高の69.76ドル、ブレント原油は0.76ドル高の74.34ドルとなった。

 前週末の海外原油は各国中銀の利上げによる景気悪化懸念が重しとなったほか、米欧の総合PMIが悪化しリスクオフムードが強まったことが嫌気され軟調な推移となった。

 週明け月曜日は、週末に起きたロシアの民間軍事会社ワグネルの反乱により供給懸念が高まったことが支えとなり堅調な推移となった。またドル安進行したことも支えとなり、上げ幅を拡大する展開となった。27日は、ECBが金融引き締めを続ける姿勢を示したことから景気後退懸念が強まったほか、耐久財受注など米経済指標の堅調さからドル高進行したことが重しとなり反落する展開。その後、API統計で原油やガソリン在庫が予想以上に減少していたことが好感され下げ幅を縮小することとなった。28日は、EIA統計において原油在庫が960万B減少と予想以上の減少幅だったことが好感され堅調に推移、一方でドル高進行したことなどが重しとなると、東京時間では上げ幅を縮小した。29日も、前日に引き続きEIA統計で原油在庫が急減したことが材料視され堅調に推移した一方で、利上げによる景気後退懸念から上値は抑えられた印象。その後は、熱帯的圧「ベアトリス」がメキシコ沿岸で発生し、ハリケーンに発達し石油生産に影響を及ぼす可能性があるとの思惑が強まったことから上げ幅を拡大する展開となった。

原油チャート

 今週の原油相場は、現状レンジでのもみ合い相場が想定される。前述のように、EIA統計では原油在庫が960万B減少と予想以上の減少が示され、季節的にガソリンなどの需要増加期待も強まっている。7月から実施されるサウジアラビアの日量100万バレルの自主減産も強材料となる一方、金融市場では利上げによる景気後退懸念が横たわっており、ドル高も進行中で、強弱材料が交錯している状況だ。テクニカル面でも、67ドル付近では買い戻しが入りやすく、73ドル付近では戻り売りに押される傾向にある。以上より、極端にどちらか一方向には動きにくく、次のトレンドを見極めながら、レンジ推移となりやすいだろう。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。