[Vol.1523] サウジ長期視点で原油生産を増やさない!?

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。75.92ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,965.65ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。23年09月限は12,460元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年08月限は579.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1000.35ドル(前日比2.95ドル縮小)、円建てで4,498円(前日比28円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(7月13日 15時00分時点 6番限)
8,724円/g
白金 4,226円/g
ゴム 204.3円/kg
とうもろこし 38,390円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「サウジ長期視点で原油生産を増やさない!?」
前回は、「サウジは原油価格が高止まりすることを望む」として、サウジアラビアの原油生産量について、述べました。

今回は、「サウジ長期視点で原油生産を増やさない!?」として、サウジアラビアの稼働リグ数について、述べます。

以下は、サウジアラビアにおける油井を掘削するために稼働しているリグ(掘削機)の数です(リグは油井を掘る機械であり生産するポンプではない)。

米国と異なり、サウジアラビアでの石油開発は着手から数年、長い場合で10数年かかるといわれています。つまり足元の開発活動が、数年後、10数年後の生産量に影響を与え得るわけです。

グラフのとおり、サウジアラビアで油井を掘るために稼働しているリグ(掘削機)の数は、減少傾向にあります。2020年ごろから原油相場が急騰し、利益が大きくなりそうな状況になったとしても、です。「脱炭素」が、サウジアラビアの開発活動の手を止めてしまっていると考えられます。

「脱炭素」が長期視点であれば、「開発停滞→減産→価格つり上げ策実施」もまた、長期視点になる可能性があるわけです。稼働リグ数の減少が長期視点ではじまっていることから、すでにもう、開発停滞が起きていると筆者はみています。

図:サウジアラビアの稼働リグ数と原油価格の推移
図:サウジアラビアの稼働リグ数と原油価格の推移

出所:ベイカーフューズおよび世界銀行のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。