[Vol.1524] インフレ長期化の懸念あり

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。77.00ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,966.65ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。23年09月限は12,410元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年09月限は587.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで986ドル(前日比5.75ドル拡大)、円建てで4,410円(前日比94円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(7月14日 12時37分時点 6番限)
8,672円/g
白金 4,262円/g
ゴム 204.3円/kg
とうもろこし 39,010円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「インフレ長期化の懸念あり」
前回は、「サウジは原油価格が高止まりすることを望む」として、サウジアラビアの稼働リグ数について、述べました。

今回は、「インフレ長期化の懸念あり」として、主要原油輸出国の財政収支が均衡する時の原油価格について、述べます。

具体的に、産油国はいくらくらいの原油価格を望んでいるのでしょうか。以下は、IMF(国際通貨基金)が示した、主要産油国の財政修正が均衡する時の原油価格です。サウジアラビアは80ドルを超えています。主要な産油国の平均はおよそ73ドルです。

OPECプラスの減産は、「[Vol.1519] 米国起因の材料で金も原油も反発か」で述べた米国における「減産」と相成り、世界の原油の需給を引き締め続ける可能性があります。そして、具体的な原油価格の落ち着き先が「70~80ドル」となると、現時点で筆者は考えています。

サウジアラムコを要するサウジアラビア、サウジアラビアとロシアがリーダー格であるOPECプラスの減産(脱炭素起因・長期視点の価格下支え)、米国の生産減少。供給面では長期視点の価格上昇圧力がかかり続けるとみています。

仮に需要が減ったとしても、多くの人が望まない「景気後退」は長期化する可能性は低く、長期視点では需給ひっ迫は続く、すなわち、インフレは長期化すると考えます。

図:主要原油輸出国の財政収支が均衡する時の原油価格 単位:ドル/バレル
図:主要原油輸出国の財政収支が均衡する時の原油価格

出所:IMFのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。