[Vol.1519] 米国起因の材料で金も原油も反発か

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。72.01ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,921.40ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。23年09月限は12,460元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年08月限は560.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1009ドル(前日比3.30ドル拡大)、円建てで4,664円(前日比18円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(7月7日 18時10分時点 6番限)
8,806円/g
白金 4,142円/g
ゴム 205.4円/kg
とうもろこし 40,900円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「米国起因の材料で金も原油も反発か」
前回は、「原油:米国国内の動向をきっかけに上向く」として、米シェール主要地区の掘削済・仕上げ済井戸数とWTI原油価格の推移について、述べました。

今回は、「米国起因の材料で金も原油も反発か」として、NY原油先物価格(日足終値)推移について、述べます。

[Vol.1516] 米国発の『二つの綱引き』が市場を席巻」で述べた二つ目の綱引きは、不安拡大→景気後退懸念→原油需要減退懸念→原油相場下落、という連想を生んで、原油相場に下落圧力をかけています。しかし、その下落圧力を相殺し得る上昇圧力の一部を「米国」自身が生んでいるわけです。

あえて「シェールの減産」と呼ぶとすると、OPECプラス(石油輸出国機構と加盟国以外の産油国、合計23カ国)が行っている減産と相成り、世界の需給は緩むどころか引き締まる可能性が出てきます(米国とOPECプラス内で減産をしている20カ国の生産シェア合計は66%。2023年5月。ライスタッドエナジーのデータより)。

昨年終わりごろ以降、原油相場が74ドル、プラスマイナス10ドル程度のレンジ相場で推移しているのは、不安起因の下落圧力がかかる中で、「主要産油国の減産」が下支えしているためだと、考えられます。原油相場が急上昇しない限り、米シェールの生産量が増えることは期待できないでしょう。

また、「[Vol.1517] 金(ゴールド):利上げの温度感低下で上昇」で述べたように、下半期、米国で利上げの温度感が低下した場合は、ドル安も原油相場を押し上げる一因になる可能性もあります。

この数回の投稿で、金(ゴールド)も原油も、米国の動向が強く関わっていることを再認識しました。米国の動向により、年末ごろ、金は2,000ドル超え、原油は現在のレンジの上限を超えた85ドルに到達していると、筆者は考えています(現時点)。下半期も、コモディティ相場から目が離せません。

図:NY原油先物価格(期近 日足 終値) 単位:ドル/バレル
図:NY原油先物価格(期近 日足 終値)

出所:ブルームバーグのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。