[Vol.1530] 新興国・途上国の穀物の爆食は続いている

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。78.68ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,962.65ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。23年09月限は12,140元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年09月限は601.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで986.9ドル(前日比5.80ドル縮小)、円建てで4,555円(前日比1円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(7月25日 16時30分時点 6番限)
8,904円/g
白金 4,349円/g
ゴム 201.8円/kg
とうもろこし 42,690円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●シカゴトウモロコシ先物(期近) 日足  単位:セント/ブッシェル
シカゴトウモロコシ先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「新興国・途上国の穀物の爆食は続いている」
前回は、「新興国・途上国の人口増加はあと60年続く」として、先進国および新興国・途上国の人口推移について、述べました。

今回は、「新興国・途上国の穀物の爆食は続いている」として、世界三大穀物(トウモロコシ、米、小麦)の消費量について、述べます。

トウモロコシ、米、小麦は、「世界三大穀物」と呼ばれることがあります。人類の主食になり得る、農産物の中でも貿易額が大きい、歴史的に人類を支えてきた、などが「世界三大穀物」たるゆえんです。

前回、新興国・途上国で、超長期視点の「圧倒的な数(人口)の増加」が予想されていると述べました。このことは、肉や乳製品を獲得するために欠かせない「トウモロコシ」、世界各国で幅広く主食として愛用されている「米」や「小麦」といった、間接・直接に関わらず人類の胃袋事情に強く影響し得る穀物の、長期視点の需給動向や価格動向を考える上で欠かせない要因です。

以下は、先進国と新興国・途上国の世界三大穀物の消費量の推移です。1960年ごろ、2つの消費量の差は2億トン弱(3億8000万トン-1億9000万トン)でしたが、新興国・途上国の消費量が長期的に急増し続けたことで、2023年には12億トン強(18億7000万トン-6億3000万トン)の差が生じるまでになりました。

先進国の需要は徐々に頭打ちになっています。人口の増加傾向が緩やかになってきていること(2042年にピークをつけるとみられる。国連の中程度の予想)、高齢化が進んでいること(食が細くなっている人が増えていることが影響か)、菜食主義が徐々に拡大していることなど、大小さまざまな要因が考えられます。

長期視点の人口増加が主因になり得る新興国・途上国の穀物需要の増加傾向が続けば、世界全体として、需給バランスは引き締まり、穀物相場は上昇圧力(長期視点)を受けやすくなると考えられます。

図:世界三大穀物(トウモロコシ、米、小麦)の消費量 単位:百万トン
図:世界三大穀物(トウモロコシ、米、小麦)の消費量 単位:百万トン

出所:USDA(米農務省)のデータおよびIMF(国際通貨基金)の資料をもとに筆者作成

 

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このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。