フィッチ、米国債を格下げ、2011年の再来か?

著者:菊川 弘之
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 NY金(12月限)はリターンムーブからの反落パターンとなったが、フィッチによる米格下げで、急反発している。6月安値と7月安値とで形成したダブルボトムのネックライン水準(価格帯別出来高の厚い)が下値支持として機能する可能性。

 ここ数年、米10年債利回りが4%超の際は、NY金は売り圧力を受けるものの、結果として中長期的な買い場を提供している格好。金利上昇に対する耐久力も高まっており、値位置も切り上がっている。

 満月(8/2)で付けた金の安値は、今回も買い場となりそうだ。

 6月の米個人消費支出(PCE)物価指数と4~6月期の米雇用コスト指数はともにインフレの鈍化基調を示し、米利上げサイクルの終わりが近いとの見方が改めて広がっているが、米景気のソフトランディング観測が高まれば、良い金利上昇からNY金は緩やかな上昇トレンドへ。一方、インフレ再燃からハードランディングシナリオが高まれば、悪い金利上昇から金利上昇・NY金上昇が同時に起こる。このシナリオの場合、金の上昇は早く・大きくなるだろう。

 BRICSが8月に開く年次定例サミットで、米ドルに替わる非米側の基軸通貨としてBRICS共通通貨の創設を発表する模様。これは、世界的な決済におけるドルの役割を弱め、米ドルの基軸通貨体制に揺らぎが意識されるだろう。

 NY金相場と金星逆行期(今年は7月22日~9月3日)の関係を見ると、逆行期は保合いが続くが、終了と共に、直近2回の場合、大きく上放れている。円建て金の優位性も継続している。早ければ、8月にも1g=1万円相場が実現しそうだ。

 

 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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