[Vol.2009] 資産形成には「長期視点」のテーマが適切

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。68.58ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。3,302.90ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。25年09月限は14,045元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。25年08月限は519.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1928.45ドル(前日比2.85ドル拡大)、円建てで9,638円(前日比12円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(7月9日 19時30分時点 6番限)
15,646円/g
白金 6,008円/g
ゴム 311.0円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY金先物 月足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物 月足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「資産形成には『長期視点』のテーマが適切」
前回は、「金(ゴールド)などのコモディティを10%程度」として、S&P500のショック発生から回復までに要した期間における、各種銘柄の騰落率を、確認しました。

今回は、「資産形成には『長期視点』のテーマが適切」として、金(ゴールド)の国際相場に関わる七つのテーマ(2025年7月時点)を、確認します。

金(ゴールド)相場は長期的に見て、国内・海外ともに史上最高値圏で推移しています。とかく、金(ゴールド)相場は「戦争」などの有事で語られることが多いですが、金(ゴールド)価格を押し上げている材料は、戦争だけではありません。目立った戦争が起きていない時期でも、金(ゴールド)相場は上昇しています。

筆者は長年、金(ゴールド)相場の動向を説明したり見通したりする手法を検討し続けていますが、今のところ、以下の七つのテーマに沿うことが、現代の金(ゴールド)相場分析に資すると考えています。ここでいう現代とは、S&P500の上昇が目立ち始めた2010年以降をイメージしています。

例えば、有事の金、株との逆相関、ドルとの逆相関、といった伝統的なテーマは、短中期的な時間軸に分類できます。ここでは「有事のムード」「代替資産」「代替通貨」としています。そして、中長期、超長期という金(ゴールド)相場を長期的に底上げしているテーマが、「中央銀行」と「世界分断」です。

これらの複数のテーマに起因する上昇・下落の圧力が金(ゴールド)相場に同時に影響し、それらが相殺されながら、価格が決定されているといえるでしょう。2010年以降は、一つのテーマだけで金(ゴールド)相場は動いてない、と考えなければならないと、筆者はみています。

時間軸が異なる複数の上昇圧力が重なることで、史上最高値を更新し続けているといえるでしょう。有事や逆相関だけで、史上最高値圏に到達したことを説明することは困難です。わかりやすいから、という理由で単一のテーマのみに注目すべきではありません。

図:金(ゴールド)の国際相場に関わる七つのテーマ(2025年7月時点)
図:金(ゴールド)の国際相場に関わる七つのテーマ(2025年7月時点)
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。