[Vol.1545] 原油98ドルで200円という試算

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。80.78ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,936.20ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。24年01月限は12,775元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。23年10月限は640.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1042.15ドル(前日比1.20ドル縮小)、円建てで4,758円(前日比46円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月16日 15時05分時点 6番限)
8,898円/g
白金 4,140円/g
ゴム 195.4円/kg
とうもろこし 39,500円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「原油98ドルで200円という試算」
前回は、「195.5円は既定路線なのか!?」として、国内のガソリン小売価格(週ごと)について、述べました。

今回は、「原油98ドルで200円という試算」として、ガソリン小売価格、ドル/円、原油価格の推移について、述べます。

前々回、三つの条件が重なったことが、足元のガソリン小売価格上昇の要因だと、述べました(補助金の縮小、海外原油高、円安)。補助金の縮小は先述の通り、段階的に廃止される方向であるため(現時点)、時差はあれども、近い将来、さらなる価格上昇を後押しすると考えられます。以下は、海外原油高と円安に関わるグラフです。

ガソリン小売価格が明確に170円超え、補助金が出る条件を満たした2022年1月下旬以降の推移を振り返ると、補助金なしのガソリン小売価格が、原油(WTI)とドル/円相場の影響を強く受けていることがわかります。

原油価格がガソリンの原材料価格にあたること、ドル/円の動向が原油を輸入する際のコストを増減させることが、その要因です。

ガソリン小売価格の全国平均が200円を超えるための条件を考えます。ドル/円に対する変動率について、原油は補助金なしガソリン小売価格の約1.5割増し(下記期間)であるため、補助金なしガソリン小売価格が 200円(195.5円→200円 1.02倍)になる時、原油価格は約98ドルだと推測されます(8月2週目基準)。

あくまで上記推測は、ドル/円が変動しなかった場合ですが、原油相場が98ドルであると仮定し、ドル/円が変動することを考えれば、ドル/円が円安に振れれば原油相場が98ドル以下で、円高に振れれば98ドル以上で200円になる可能性があります。

図:ガソリン小売価格、ドル/円、原油価格の推移(2022年1月16日を100として指数化)
図:ガソリン小売価格、ドル/円、原油価格の推移(2022年1月16日を100として指数化)

出所:資源エネルギー庁、Investing.comなどのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。