[Vol.1573] 米国とOPECが価格上昇を演出

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。88.77ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,931.65ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。24年01月限は13,835元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。23年11月限は682.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1017.3ドル(前日比4.30ドル拡大)、円建てで4,849円(前日比2円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(9月26日 17時48分時点 6番限)
9,152円/g
白金 4,303円/g
ゴム 234.5円/kg
とうもろこし 39,070円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「米国とOPECが価格上昇を演出」
前回は、「100ドルの価格帯へ移行しつつある」として、WTI原油先物価格の推移について、述べました。

今回は、「米国とOPECが価格上昇を演出」として、足元の原油市場の動向(2023年6~9月)について、筆者の考えを述べます。

前回の図「WTI原油先物価格」で示したとおり、昨年11月下旬から今年8月中旬まで、不安起因の下落圧力と減産起因の上昇圧力に挟まれ、原油市場はレンジ相場で推移していました。しかし、価格がレンジを明確に上抜けたことから、これまでの下落圧力と上昇圧力の関係に変化が生じたことがうかがえます。

以下は、筆者がイメージする足元の原油相場の環境です。8月下旬以降、不安縮小を受けた下落圧力低下と、減産拡大を受けた上昇圧力増幅が同時進行していると、考えられます。

下落圧力は米国の金融政策と中国の景気動向における不安縮小によって低下、上昇圧力はOPEC(石油輸出国機構)と米国における減産拡大によって増幅したと、考えられます。これを主体別に言えば、「米国における金融政策への不安縮小と減産拡大」と「OPECによる中国の景気不安縮小(詳細は次回以降述べる)と減産拡大」の同時進行です。

図:足元の原油市場の動向(2023年6~9月)
図:足元の原油市場の動向(2023年6~9月)

出所:筆者作成 イラストはPIXTA

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。