[Vol.1592] ドル・株起因の下落圧力の中、上昇

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。86.00ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,977.55ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年01月限は14,525元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。23年12月限は677.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1083.9ドル(前日比1.10ドル拡大)、円建てで5,207円(前日比4円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(10月24日 18時08分時点 6番限)
9,466円/g
白金 4,259円/g
ゴム 261.0円/kg
とうもろこし 40,410円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「ドル・株起因の下落圧力の中、上昇」
前回は、「『有事の金(ゴールド)』出現」として、NY金(中心限月)の推移(日次高値)を確認しました。

今回は、「ドル・株起因の下落圧力の中、上昇」として、イスラエル・ガザ戦争勃発後の金・ドル・株の値動き(10月6日を100として指数化)を確認します。

以下は、イスラエルとガザ地区間での戦争勃発以降の、主要銘柄の価格推移です。同戦争が勃発したのは、10月7日の土曜日でした。

前日の6日を100としてその後の価格推移を確認すると、NY金先物、国内の金価格(円建て)が上昇し続けたことのほか、金(ゴールド)相場に対する代替資産起因の圧力の方向性を測るために「ドル」に見立てた米10年債利回りは反落→反発、代替通貨起因の圧力の方向性を測るために「株」に見立てたS&P500種指数は反発→反落、と推移したことが分かります。

戦争勃発直後から10月中旬にかけて、金(ゴールド)相場に対し、ドルは上昇圧力を、株は下落圧力を同時にかけ、中旬以降、ドルは下落圧力を、株は上昇圧力を同時にかけてきたことがうかがえます。つまり、戦争勃発直後から足元まで、代替通貨起因の圧力と代替資産起因の圧力はほとんど相殺されていた可能性があります。

こうした中で、金(ゴールド)相場は上昇し続けました。これは金(ゴールド)固有の上昇圧力が存在したためだといえます。その圧力の起源が「有事」だったと考えられます。不安勃発を機に、投資家の間で資金の逃避先を求めて金(ゴールド)を物色する動きが加速する「有事の金」が出現したといえそうです。

図:イスラエル・ガザ戦争勃発後の金・ドル・株の値動き(10月6日を100として指数化)
図:イスラエル・ガザ戦争勃発後の金・ドル・株の値動き(10月6日を100として指数化)

出所:Investing.comのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。