[Vol.1601] 原油価格は史上最高値更新も

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。79.17ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,972.45ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。24年01月限は14,045元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。23年12月限は623.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1067.95ドル(前日比3.05ドル縮小)、円建てで5,203円(前日比4円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(11月7日 18時56分時点 6番限)
9,506円/g
白金 4,303円/g
ゴム 257.5円/kg
とうもろこし 39,550円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「原油価格は史上最高値更新も」
前回は、「世界銀行が『未知の領域』入りを言及」として、近年のエネルギー・農産物価格の高止まりの原因と影響範囲を、確認しました。

今回は、「原油価格は史上最高値更新も」として、原油(ブレント)価格の推移と世界銀行の戦争激化時のシナリオを、確認します。

世界銀行は前回述べた見通し内で、原油価格の動向について、戦争激化の程度別(小規模、中程度、大規模)の三つのシナリオを示しました。

戦争激化の程度が小規模の場合に想定される原油価格の水準は93ドルから102ドル、中程度は109ドルから121ドル、大規模は140ドルから157ドルです。規模の大小にかかわらず、戦争が激化すれば、原油価格が上昇することを想定しています。

いずれのシナリオも、過去の産油国周辺での大規模なリスク発生時の原油生産量の減少分を考慮して作られています。小規模は2011年のリビア内戦(150万バレル減)程度、中規模は2003年のイラク戦争(230万バレル減)程度、大規模は1973年から1974年の第一次石油危機(430万バレル減)程度です。

戦争激化の程度が大規模だった場合、原油価格は2008年7月につけた史上最高値(WTI[ウエスト・テキサス・インターミディエート]、ブレントともに147ドル台)を更新する可能性があることが示唆されています。これが冒頭で述べた「未知の領域」への突入です。

図:原油(ブレント)価格の推移と世界銀行の戦争激化時のシナリオ 単位:ドル/バレル
図:原油(ブレント)価格の推移と世界銀行の戦争激化時のシナリオ 単位:ドル/バレル

出所:世界銀行のデータ・資料をもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。