週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比0.68ドル安の75.87ドル、ブレント原油は0.87ドル安の80.62ドルとなった。

 前週末の海外原油は、ハマスとイスラエルが一時停戦に合意したことで地政学リスクが後退したほか、OPECプラス会合が30日に延期となったことでOPECプラスによる追加減産に懐疑的な見方が強まったことが重しとなり軟調な推移となった。

 先週はOPECプラス会合を控える中で追加減産への期待感から上昇していた一方、会合後は売りが強まる格好となった。週明け27日は米国など主要国経済が弱含んでいることが重しとなり軟調な推移となった。一方でOPECプラスが追加減産の可能性をあきらめていないと伝わると、一時下げ幅を消す場面も見られた。翌28日は米FRB理事が利下げの可能性を示唆したことからドル安進行したことが支えとなったほか、サウジが追加減産のための事前協議を継続していると伝わったことが好感され堅調な推移となった。翌29日は戻り売りの動きから始まったものの、OPECプラスによる追加減産期待が支えとなったほか、悪天候のため黒海からの輸出が混乱しており、カザフスタンの生産が50%程度落ち込んでいると伝わったことが好感され堅調な推移となった。翌30日はOPECプラス会合において日量200万Bの減産で合意したものの、そのうち130万B程度はすでにロシアとサウジが実施している自主減産の延長であり、市場の期待を下回る合意内容だったことが嫌気され急落する格好となった。また、新規の減産幅についても各国の自主性ベースにとどまり、どの程度実行されるか不透明との見方も重しとなった。

NY原油チャート

 今週の原油相場はじり安推移が想定されそうか。注目のOPECプラス会合では日量200万Bの減産で合意したものの、そのうち130万Bはサウジとロシアがすでに実施している自主減産の延長であり、実質の減産幅は70万B程度と事前予想を下回ったことが嫌気される格好となった。その日量70万Bの減産幅も自主減産ベースに留まっていることから厳格には運用されず、数字通りの効力はないとの見方も出ており、供給不安が後退している中で下値を探る展開が想定されそうか。一方でFOMCにおいて利上げサイクルが終了し、来年第2四半期以降には利下げを開始するとの見方が強まっていることからドル安・株高進行していることは支えとなりそうであり、下値もある程度は支えられそうか。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。