米国のOPEC依存度、統計史上最低の14.9%

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反落。主要株価指数の反落などで。56.28ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,509.25ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年01月限は11,710元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。19年12月限は456.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで576.35ドル(前日比4.35ドル拡大)、円建てで1,997円(前日比0円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(10月28日 18時28分頃 先限)
 5,251円/g 白金 3,254円/g 原油 38,520円/kl
ゴム 169.7円/kg とうもろこし 24,200円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「米国のOPEC依存度、統計史上最低の14.9%」

今回は「米国のOPEC依存度、統計史上最低の14.9%」として、米国の相手国別原油輸入量について書きます。

以下のグラフは、米国の原油輸入量の合計、OPECからの輸入量の合計、OPECからの輸入割合を示すOPEC依存度を示しています。

OPEC依存度(OPECからの輸入量÷輸入量合計)は、下落の一途を辿っています。

OPEC依存度の統計史上最高は1977年6月に74.2%です。しかし、2019年7月は14.9%と、確認可能な1973年1月以降の統計史上最低となりました。

逆に、非OPEC諸国からの輸入量は全体の85.1%です。

輸入量が多いのはカナダ(全体の48.8%)、次いでメキシコ(同7.0%)、ロシア(同5.1%)、コロンビア(同3.9%)、ブラジル(同3.6%)などとなっています。

産油国で、地続きで、かつ友好関係にあるカナダが、米国にとってエネルギーの安全保障上、最も適しており、それを反映した依存度と言えます。

カナダのほか、地理上、比較的近いアメリカ大陸の国々からの輸入量が多いことがわかります。

ただ、同じアメリカ大陸でも、OPEC加盟国のエクアドル(同2.1%)、ベネズエラ(同0.0%)と、依存度が低く状態にあります。

ベネズエラは現在、米国の制裁対象国であるため政策的な理由から、輸入量が減少しています。

エクアドルの依存度が低い点は、パナマ運河を経由しなければ米国に原油を輸入することが難しい、などの地理的な条件があると考えられます。輸入量自体、以前とそれほど大きな変化はありません。

イランについては、イラン革命やイランイラク戦争を経た、1980年代半ば以降、ほぼ皆無となり、統計上、1991年12月以降、同国からの輸入量はゼロとなりました。

米国の制裁により、足元、原油生産量が大幅に減少していますが、近年の米国のOPEC依存度の低下には関わりはありません。

図:米国の原油輸入量およびOPECシェア 単位:千バレル/日量


出所:EIAのデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。