金相場見通し2024

著者:菊川 弘之
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 NY金は、米利下げ期待に対する行き過ぎの調整に加えて、米証券取引委員会(SEC)が1月10日、代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインを運用対象とする上場投資信託(ETF)の上場申請を承認したことで、金(ETF)からビットコインへの資金シフトもあり、続落した。

 ビットコインで運用するETF11銘柄の取引が始まり、売買代金合計は約46億ドル(約6700億円)と上場初日は活発な取引となった。

 ETF承認を受けてビットコイン相場は一時2年ぶりの高値を付けるも、その後は反落。調整していたNY金は200日移動平均線を維持して反発している。

 金(ETF)相場と仮想通貨は、基軸通貨ドルや既存の通貨に対する代替資産として順相関の関係を見せる場合と、代替資産の中での資金シフトが大きくなった場合、逆相関の動きをこれまでも見せてきた。

 基軸通貨ドルの揺らぎや、米利下げ観測の高まりは、金にとってもビットコインにとっても強気要因だが、足元はビットコインETF上場に伴い短期筋中心にリスク値は高いものの変動率が高く、思惑が当たった場合に、より資金効率の高い仮想通貨に資金が流入した格好だ。ただ、上場で「知ったら終い」的な反応にもなっており、金の下値は限定的だろう。


 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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