金相場見通し2024

著者:菊川 弘之
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 ユーラシア・グループでは最悪のシナリオであるホルムズ海峡の閉鎖の可能性は極めて低いとみているものの、世界の主要な海運会社のほとんどが紅海の通過を停止しており、世界貿易の12%が通過する重要な水路が麻痺していることは、貨物保険料の高騰や、サプライチェーンの混乱からインフレ圧力につながる。

 また、反イスラエル・反米感情は中東全域、世界中のイスラム教徒だけでなく、グローバルサウスでも高まっており、ニクソンショック以降、長らくドルの基軸通貨体制を支えてきた「ペトロダラー体制」も崩れ始めている。

 イスラエル・パレエスチナ問題をきっかけに、米主導の世界秩序に異を唱えるイスラム諸国や「グローバルサウス」の力は、政治的にも経済的にも増していく。ロシア・ウクライナ戦争も、プーチン大統領が再選する中、ゼレンスキー大統領の失脚等でロシアに有利な方向での停戦のシナリオも否定できない。

 リスク7の「重要鉱物の争奪戦」、リスク8の「インフレによる経済的逆風」、リスク9の「エルニーニョ再来」なども、金にとっては上昇要因だ。米国の威光が落ち込む中で政治的不安定さは増し、「安全資産」としての金が買われる流れは継続するだろう。インフレの度合いによって、緩やかに上昇するか、激しく上昇するかの違いだろう。

 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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