[Vol.1646] 「いつも」の裏に大規模な負の出来事

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。72.77ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。2,045.55ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年05月限は13,875元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。24年02月限は556.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1133.65ドル(前日比3.15ドル拡大)、円建てで5,350円(前日比9円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(1月16日 17時50分時点 6番限)
9,623円/g
白金 4,273円/g
ゴム 266.1円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「『いつも』の裏に大規模な負の出来事」
前回は、「共通テストの日はいつも雪が降る?」として、大学入学共通テスト(共通一次試験・センター試験含む)期間中の降雪実績について述べました。

今回は、「『いつも』の裏に大規模な負の出来事」として、筆者が考える「いつも」が浸透する背景について述べます。

「いつも」は、「わりと」「ちょくちょく」「よく」のように出現頻度が高いことを強調する時に用いられる言葉です。頻繁であるというイメージを作り出した上で、話を盛って聞き手にインパクトを与える、大げさに表現して耳目を引く、聞き手を誘導する時などに用いられます。

こうした言葉が盛り込まれた会話にはデータが盛り込まれていない場合があることに気を付けなければなりません。

なぜ、このような言葉が広く使われているのでしょうか。共感を得るのに都合が良いからだと筆者は考えています。「いつも」と聞くと、本当にいつもなのだと思う人は少なからずいるでしょう。

いつもではないにせよ、高い頻度でそれが起きると感じる人はさらに多くなるでしょう。頻度は聞き手次第であるものの、「いつも」と聞くと聞き手の頭の中では発言者の意図通り「起きやすい」というイメージが固まります。

「いつも」を口にする人と、その発言を「起きやすい」と受け取る人をつないでいるのは、過去に小頻度で発生した大規模な負の出来事です。反対の意味を持つ正の出来事は、幸せ、うれしい、楽しい、おいしい、暖かい、心地よいなどを増幅させた出来事です。負の出来事は、これらの逆の要素を増幅させた出来事です。

人間は元来、正の出来事よりも負の出来事に心と頭を奪われる性質を持っているといわれています。このため大規模な負の出来事が起きると、その出来事がそれを目の当たりにした多くの人の心と頭に強く、深く刻み込まれ、それらの人のあいだで暗黙の共通の認識が出来上がります。

こうした状況の中で誰かが当該出来事について「いつも」と口にすると、暗黙の認識が顕在化して多くの人が共感を示すようになります。

図:「いつも」が浸透する背景
図:「いつも」が浸透する背景

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。