[Vol.1992] 金(ゴールド)と原油は急騰状態に

著者:吉田 哲
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原油反落。中東地域における悲観論の一時後退などで。70.84ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの反発などで。3,432.85ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。25年09月限は13,910元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。25年07月限は541.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2195.25ドル(前日比45.65ドル縮小)、円建てで10,588円(前日比36円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(6月16日 17時42分時点 6番限)
15,950円/g
白金 5,362円/g
ゴム 291.3円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY原油先物 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物 日足  単位:ドル/バレル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「金(ゴールド)と原油は急騰状態に」
前回は、「金(ゴールド)もプラチナも魅力的」として、プラチナの自動車排ガス浄化装置向け需要の推移を確認しました。

今回は、「金(ゴールド)と原油は急騰状態に」として、主要銘柄の騰落率(2025年6月10日と13日を比較)を確認します。

金(ゴールド)と原油の価格が大きく上昇しています。中東情勢の悪化が主な要因と考えられます。なぜ今回、情勢が悪化したのか、今後どうなるのか、そして金(ゴールド)と原油の価格がどう動きそうか、解説します。

足元、金(ゴールド)と原油の相場が、急騰状態にあります。6月の2週目以降、中東地域に関わる高いリスクを想起させるキーワードが広く報じられているためです。

「中東で戦争」というキーワードは、1970年代後半のオイルショックや、インフレを想起させ、「核施設を攻撃」というキーワードは、核戦争や放射性物質の拡散、拡大解釈を経て第三次世界大戦などを想起させます。大変に物々しい、イメージが膨らみます。

こうしたイメージが強まってか、以下のとおり、原油と金(ゴールド)の価格は、中東で強いリスクが生じる直前に比べて、大きく上昇しています。

日米の株価指数が下落幅を縮めていることを考えると、全体的には、中東情勢の悪化を悲観的に受け止めた「初期反応」はいったん収まったと言えます。とはいえ、原油と金(ゴールド)の下げ幅は小幅にとどまっています。これらの市場には、まだ不安心理が残っていることがうかがえます。

図:主要銘柄の騰落率(2025年6月10日と13日を比較)
図:主要銘柄の騰落率(2025年6月10日と13日を比較)
出所:Investing.comのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。