週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比0.4ドル高の74.13ドル、ブレント原油は0.14ドル安の79.04ドルとなった。

 前週末の海外原油は続伸。米英がイエメン・フーシ派の軍事拠点に対して空爆を実施したことで買いが優勢となった。一方で米PPIが予想外に下落し、株安に振れたことは重しとなった模様。

 先週はドル高が重しとなった一方で、中東情勢への懸念は支えとなり底堅い動きとなった。週明け15日は米国がキング牧師記念日で休場。前日の上昇やドル高を受けてブレント原油は軟調な推移となった。16日は反落。引き続き中東情勢の緊迫化が支えとなっているものの、米長期金利の上昇からドル高が進行したことが重しとなりマイナスサイドに沈む展開となった。また、米国の主要生産地域での暖冬予報も圧迫要因となった模様。17日は反発。世界最大の石油輸入国である中国の2023年のGDPが予想を下回る内容となったことから、売りが先行する展開となった。その後はOPEC月報で中国と中東を筆頭に力強い需要拡大が見込まれるとの予想が示されたことや、紅海を巡る不透明感から買いが入るとプラス圏へ値を戻す動きとなった。18日は続伸。米国がフーシ派の拠点を再び攻撃したことで中東情勢の緊迫化が高まったほか、IEA月報で2024年の石油需要を日量18万B上方修正したことが相場を押し上げた。OPEC月報では2025年の石油需要が増加すると示されており、消費国側と産油国側が揃って需要見通しを引き上げたことから、世界のエネルギー需要の先行きに楽観的な見方が広がった。

NY原油チャート

 今週の原油相場は引き続きレンジでの推移となるか。フーシ派による船舶への妨害行為が続くなか、米国もフーシ派拠点への攻撃を繰り返しており、引き続き中東情勢の緊迫化は支えとなるだろう。一方で、現時点で石油供給の混乱は生じていないことから大きく上昇する材料にはならないとみる。また、ウォラーFRB理事の発言から利下げ観測も後退し、ドル高と中国の景気回復の遅れも上値を抑える要因となっていることから、高値では戻り売り優勢となりそうか。OPECやIEAの石油需要増加見通しと中東情勢への懸念から下値は底堅く、WTIで70~76ドルのレンジを想定する。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。