[Vol.1662] イランの輸出主要品目と相手国の変化

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。73.49ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの反落などで。2,050.25ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。24年05月限は13,280元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年03月限は561.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1139.75ドル(前日比0.25ドル縮小)、円建てで5,353円(前日比5円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(2月7日 12時41分時点 6番限)
9,674円/g
白金 4,321円/g
ゴム 281.5円/kg
とうもろこし 37,430円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「イランの輸出主要品目と相手国の変化」
前回は、「イランが支援するイスラム武装組織」として、イランが支援しているとされるイスラム武装組織について述べました。

今回は、「イランの輸出主要品目と相手国の変化」として、イランの輸出額増減上位5分類について述べます。

映画「海賊と呼ばれた男」では、英国に自国の石油資源を搾取されているイランに、米英の包囲網をかいくぐって日本の石油会社がタンカーを仕向ける様子が描かれています。1950年代の実話をもとに作られた映画です。

タンカーが無事イランの港に到着した時、イランの市民がイラン経済に希望を与えたと賞賛し、そして川崎港に帰港した時、日本の市民が日本経済を支えたと歓喜するシーンがあります。このタンカーの航行は、欧米の圧政にあえぐ国が多かった時代に、世界中に驚きを振りまいたと言われています。

歴史的に産油量が多いイランはOPECの発足メンバーです。現在もOPECプラス(OPEC12カ国、非OPEC11カ国の合計23カ国)の一員です。原油などの「鉱物」を含んだ、近年のイランの輸出額は以下のとおりです。

実は、イランの輸出額の総額は2000年から2021年にかけて半分以下になっています。急減の主因は「鉱物」輸出の大幅減少(10分の1以下)です。先述の通り、イランは主要な産油国の一つですが、その石油関連品目の輸出が急減しています。

輸出相手国を見ると、西側諸国向けの輸出が急減していることが確認できます。このほとんどが「鉱物」、つまりイランの主な輸出品目である石油関連です。イランの西側向けの石油輸出が激減したのは、西側の石油需要が激減したためではありません。西側がイランから意図して輸入しないようにしているのです。

図:イランの輸出額増減上位5分類 単位:百万ドル
図:イランの輸出額増減上位5分類 単位:百万ドル

出所:OEC(The Observatory of Economic Complexity)のデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。