週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比0.28ドル高の78.49ドル、ブレント原油は1.11ドル安の82.20ドルとなった。

 前週末の海外原油は前日にダウが最高値を更新するなどリスクオンムードが高まっていたことは支えとなった一方、ウォーラーFRB理事が少なくとも2か月は利下げを先送りする必要があると述べたことでドル高進行したことが嫌気された。

 先週はOPECプラスが減産期間を延長する可能性があると伝わったことが支えとなった一方、早期利下げ期待が後退する中でドル高進行したことは重しとなり強弱まちまちな推移となった。週明けは米製油所の稼働率が定修で落ち込む中、ディーゼル燃料の需給がひっ迫していると伝わったことが支えとなり堅調な推移となった。また、フーシ派が紅海での攻撃をエスカレートさせると表明したことも支援材料となった。翌27日はOPECプラスが日量220万B規模の自主減産を4-6月期にかけても継続することを検討していると伝わったほか、ロシアが国内需要優先のためガソリン輸出を6カ月間禁止すると発表したことが支えとなり続伸した。翌28日は複数のFRB高官が早期利下げに慎重な姿勢を示したことでドル高進行したことが重しとなったほか、EIA統計において原油在庫が5週連続での積み増しとなったことが嫌気され軟調な推移となった。週末にかけても上値重い推移を引き継ぐと、米経済指標の悪化で需要の減少懸念が高まったことや、OPECプラスの産油量が前月から9万B増加したと伝わったことが重しとなり続落した。

NY原油チャート

 今週の原油相場は引き続き高値圏での推移が想定されそうか。OPECプラスが自主減産を4-6月期も継続する可能性を示したほか、年内いっぱいの継続も検討していると伝わったことが支えとなっており、実現すれば相場の下支え要因となりそうだ。また、ガザ北部で支援物資を待つ住民をイスラエル軍が攻撃し112人が死亡したと伝わり、休戦交渉の合意期待が後退しているほか、フーシ派が紅海などでの攻撃を激化させる姿勢を示したことも支援材料となりそうだ。一方で、株式相場は堅調に推移しているものの、米利下げ期待が後退している中でドル高進行していることは重しとなっている。来週は主要な経済指標の発表が多く、利下げ期待がさらに後退するような内容となれば戻りを売られる展開も想定されそうか。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。