週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比1.52ドル高の81.10ドル、ブレント原油は1.74ドル高の85.24ドルとなった。

 前週末の海外原油は続落。中国の1-2月原油輸入が前年比5.1%増となったが、12月から減少していたことが嫌気された。また、米雇用統計で雇用者数が予想以上に増加したことからFRBが利下げを急がないとの見方も重しとなった。

 先週はドル高や中国の景気悪化懸念が重しとなったものの、米国の在庫減少などが支えとなり高値更新となった。週明け11日はまちまち。翌日の米CPI発表を控え、対主要通貨でドルが買われたことが重しとなり売りが先行する展開となった。その後は、ドルの軟化とFRBの利下げがエネルギー需要を下支えするとの観測から反転する格好となったが、中国の景気停滞への警戒感も根強く、プラス圏を維持とはならなかった。12日は下落。米国株の上昇が支えとなったものの、米2月消費者物価指数が市場予想を上回ったことでドル高に振れたことや、EIA月報で24年、25年の米原油生産量見通しが上方修正されたことが重しとなった。13日は反発。EIA統計で原油やガソリン在庫が予想を上回る取り崩しとなったことが相場を押し上げた。また、ウクライナのドローン攻撃によりロシア最大規模の製油所が炎上し、供給ひっ迫が意識されたことも支援要因となった。

 14日は続伸。引き続き米国の在庫減少による需給引き締まり観測が買い材料となった。加えて、IEAが今年の需要の伸びを日量11万B上方修正したことも好感された。

NY原油チャート

 今週の原油相場はWTIで84~86ドルを目指す展開となるか。ラマダン入りしても中東地域の緊張が続くなか、冬場が終わりを迎えて需要が強含む時期に、米国の原油や製品在庫が減少傾向にあることは来週以降も支援要因となるだろう。SPRを除く原油と石油製品の在庫は合計で12憶1,809万B程度まで減少しており、22年12月以来の低水準となっている。このような状況のなかで、引き続きロシアの石油施設がドローン攻撃により供給リスクにさらされていることも支えとなっており、目先は需給が意識されやすい展開が想定される。ただ、来週は日銀の金融政策決定会合とFOMCが控えており、FOMCで利下げに慎重な姿勢が示されると上値は重くなりそうだ。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。