週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比0.60ドル安の80.50ドル、ブレント原油は0.06ドル安の85.18ドルとなった。

 前週末の海外原油は米鉱工業生産が堅調な内容となったことから利下げ期待が後退すると、ドル高・株安進行したことが重しとなり軟調な推移となった。

 先週は需給バランスがタイトになるとの見通しが支えとなった一方、週末にかけて利食い売りやドル高進行したことなどが重しとなると往って来いの展開となった。週明けはイラクが原油輸出の削減を発表したほか、サウジの原油輸出も2カ月連続で減少していることが支えとなり堅調な推移となった。また、米国での石油需要が上向きつつあるほか、ロシアの製油所火災で供給が減少していることも好感された。翌19日はロシアの製油所がウクライナ軍の攻撃を受けているほか、米国での需要が上向いていることでガソリン需給がタイトになっているとの見方が支えとなり堅調な推移となった。翌20日は年初来高値の更新が続く中で利食い売りが入り反落した。また、FOMCが金利の据え置きを決定し、需要の減少懸念が高まったことも重しとなった。週末にかけても戻り売りの流れを引き継ぐと、米ガソリンの供給量が3週ぶりに900万Bを下回り、需要の減少が意識されたことが嫌気されたほか、ドル高進行や米国がガザでの即時停戦を呼び掛ける決議案を国連安保理に提示したことが重しとなり軟調な推移となった。

原油チャート

 今週の原油相場は高値圏でもみ合う展開が想定されそうか。足元でドル高進行していることは重しとなりそうなほか、米政府が人質解放と引き換えにガザ地区での即時停戦を求める国連決議案を提出し、早ければ今週末にも採決される可能性があると伝わったことは弱材料となりそうだ。一方でイスラエルが決議によって戦闘を休止するとみる向きは少なく、引き続き地政学リスクは意識されるほか、米国のガソリン需給が引き締まっていることが支援材料となる中で押し目は支えられやすく、目先はもみ合う中で方向感を探る展開が想定されそうか。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。