週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比0.05ドル安の60.80ドル、ブレント原油は0.09ドル安の64.00ドルとなった。

 前週末の海外原油は、イランと米国の核協議において進展はあったが結論には至らなかったと伝わったことからイラン制裁の継続が意識され堅調な推移となった。一方でトランプ大統領が6月1日からEUに50%の関税を課すことを検討していると述べたことで上値は抑えられた印象だ。

 週明け月曜日は米関税政策への警戒感が後退したことが支援材料となった一方で、OPECプラスが7月にも増産する見通しとなっていることが重しとなり強弱まちまちな推移となった。その後戻り売りが優勢となる中で、27日は米国による関税への警戒感が後退し株高進行したものの、OPECプラスによる増産観測が引き続き重しとなり続落した。その後、トランプ大統領がロシアへの制裁強化としてロシア産石油・ガス輸入国への関税賦課を検討していると伝わったことが支援材料となり上向くと、28日は反発の動き。OPECプラスの閣僚級会合において生産方針の維持で合意されたことや、米政権が石油大手シェブロンによるベネズエラ産原油の輸出を規制したことで供給懸念が拡がったことが相場を支えた。ただし、買いは続かず29日は反落。国際エネルギー機関(IEA)事務局長が一部メディアに対し、中国での石油需要がかなり弱いとの見解を示したことが伝わり、先行きの警戒感から売りが先行した。

みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 今週の原油相場は強弱材料が交錯し、引き続きレンジ内でやや下向きの動きが想定される。本格的なドライブシーズンに入り、需要面での拡大が意識されやすく、またくすぶり続ける中東及びウクライナの地政学リスクが下支え材料となる。一方で、先述の通りOPECプラスの閣僚級会合においては生産方針の維持で合意されたものの、自主減産を実施していた有志8ヵ国が自主減産幅の縮小(⇒増産)を始める見込みで、大きな下押し材料となるだろう。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

岡地株式会社
国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。