週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比2.67ドル高の83.17ドル、ブレント原油は1.82ドル高の87.00ドルとなった。

 前週末の海外原油は続落。ガザ停戦協議の行方を見極めたいとのムードが強く上値の重い展開となった。また、史上最高値を更新していた米株が騰勢一服で崩れたことも圧迫要因となった。

 週明け25日はウクライナがロシアの石油関連施設へのドローン攻撃を継続していることから反発。また、ロシアが国内石油企業にOPECプラスの減産目標である日量900万Bを遵守するよう命じたことも需給引き締まり観測につながった。翌26日は利益確定売りが優勢となり反落。ロシアからの供給不安の高まりや中東情勢を巡る先行き不透明感から上昇して始まったものの、ボスティック米アトランタ連銀総裁が年内の米利下げ回数は1回と見通すなど利下げに対する楽観論が後退したことが重しとなった。27日は弱気なEIA週報は嫌気して続落。四半期末に当たる金曜日がグッド・フライデーで祝日となる中、ポジション調整主体の動きとなった。注目されたEIA統計は原油在庫は316.5万B増、ガソリン在庫が129.9万B増と予想に反して増加、ガソリン需要も2週連続で減少し日量870万Bとなった。28日は反発。米エネルギー省がSPR用に280万Bを買い上げたことを明らかにした。また、2023年10-12月期の米GDPが前期比3.4%増に上方修正されたことも好感された。市場では今週3日のJMMCに注目、現状ではOPECプラスは6月の閣僚級会合まで現行の生産方針を据え置く公算が大きいと見られている。

原油チャート

 今週の原油相場はイースター明け上昇ならWTI85ドル、ブレント90ドルを伺う展開が想定される。材料的には引き続き中東情勢、ウクライナによるロシアの製油所攻撃がメインテーマ。ロシアの製油所稼働停止は生産能力の14%、日量90万Bとみられるが、仮に黒海沿岸の主要石油積み出し港であるノヴァロシークスが攻撃された場合、原油供給が停止する可能性もあり注視していきたい。また27日に米エネルギー省はSPR用に280万Bを買い付けたが平均購入価格が82.13ドルと目標の79ドルを大きく上回っており心理的に下値は支えられそうだ。2022年にSPRは1億8000万B放出されたが市場からの買い上げは3230万Bに留まっている。外部要因的にはNYダウは39000ドル後半の過去最高値圏でもみ合いが続いているが4万ドルの大台乗せが期待されている。その場合は同じリスク資産である原油もリスクオンとなり上値追いの展開が予想される。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。