[Vol.1699] 世界分断は物価高の一因でもある

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。85.09ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反発などで。2,292.70ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。24年09月限は14,510元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年05月限は660.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1361.95ドル(前日比14.45ドル拡大)、円建てで6,623円(前日比23円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(4月3日 16時35分時点 6番限)
11,086円/g
白金 4,463円/g
ゴム 324.8円/kg
とうもろこし 39,900円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス

出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「世界分断は物価高の一因でもある」
前回は、「分断は豊かさや正しさを求めた結果」として、2010年以降の世界的なリスク拡大と金・原油・株高の背景(筆者イメージ)について述べました。

今回は、「世界分断は物価高の一因でもある」として、世界のスマートフォン販売台数などについて述べます。

世界の分断を深化させたのは、スマートフォンの世界的普及(下図参照)のほか、債務危機や移民問題などが噴出して西側をリードしてきた欧州で大きな混乱が発生したこと、そして2008年のリーマンショック後の経済回復・株価上昇のために西側が強力に推し進めた環境問題と人権問題への対応が、非西側の産油国や権威主義を主張する国々と決定的な軋轢(あつれき)を生んだことが挙げられます。

環境問題と人権問題への対応によって、一部の金融商品に資金が流入して空前の株高が起きました。しかし同時に、西側と非西側の分断はさらに深まり、非西側の産油国は環境問題と称して石油を否定する西側に対して原油の出し渋り(原油の減産)を強化するようになったり、西側に人権侵害を訴えられた非西側の一部の国は内政干渉だと猛然と反発したりするようになりました。

その意味では、わたしたちが今直面している物価高(非西側産油国の減産が主因)の一部は、世界分断によるものだといえます。その分断の一因を作ったのが実は西側であるわれわれでもあると筆者は考えています。分断が深まり、矛盾に満ちた世界に放り出された若い方たち、そして図らずもそうした環境を作ってしまった大人たちは、今後、何をどのように考えて生きていけばよいのでしょうか。(次回以降、その対処法について筆者の考えを述べます)

図:世界のスマートフォン販売台数 単位:百万台
図:世界のスマートフォン販売台数 単位:百万台

出所:Gartnerなどのデータを基に筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。