週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比3.85ドル高の87.02ドル、ブレント原油は4.22ドル高の91.22ドルとなった。

 前週末の海外原油はグッドフライデーで休場となったことから動きはなかった。

 先週は供給ひっ迫懸念や地政学リスクが意識され、昨年10月以来の水準まで上昇する展開となった。週明け1日は続伸。週末にロシア副首相が4-6月期の減産に力を入れる方針を示したほか、OPECの減産や、メキシコが今後数か月間、原油輸出を削減する可能性があると伝わったことが支援要因となった。一方で、米ISM製造業景況指数が堅調な内容となったことで利下げ期待が後退したことは重しとなった模様。2日も続伸。ウクライナがロシアで3番目に大規模な製油所を攻撃したことで供給懸念が強まった。また、イスラエル軍機がシリアのイラン大使館を攻撃し、イランが報復予告をしていることも相場を支えた。3日は小幅続伸。引き続き供給ひっ迫懸念や地政学リスクが相場を下支えしたが、EIA週報で原油在庫の増加が示されたことは重しとなった。4日も続伸。米国務長官がウクライナはNATOに加盟すると述べたことから、NATOとロシアの衝突により第三次世界大戦が始まる可能性が意識された。また、イランが金曜日にもイスラエルに報復する可能性があるとの報も支援要因となった。

NY原油チャート

 今週の原油相場は引き続き堅調な推移となるか。OPECプラスの減産や、ウクライナのロシア石油施設へのドローン攻撃によりロシア産石油製品の供給が減少している。供給ひっ迫が意識されるなか、NATOとロシア、イスラエルとイランの緊張がさらに高まる展開となっている。特に、イランの報復は間近との報もあり、イスラエルも反撃する構えを見せていることから武力衝突がエスカレートする可能性が高くなっている。本日は米雇用統計を控えているが、ADP統計同様に予想を上回る雇用の伸びが示されれば、利下げ期待後退から原油が売られる展開も想定されるが、地政学リスクの高まりが引き続き相場を支え、下値は限定的となりそうだ。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。