週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比1.99ドル安の83.87ドル、ブレント原油は2.29ドル安の88.18ドルとなった。

 前週末の海外原油は反発。親イラン武装組織ヒズボラがイスラエル北部に向けて大規模なミサイル攻撃を実施したことから一時中東情勢の緊迫感が強まるも高値からは失速して引けた。

 先週は地政学リスクの後退が重しとなり売りが先行する格好となったが、週末にはイスラエルがイランを攻撃したとの報からやや反発する展開となった。週明け15日は小反落。イランはイスラエルへの報復攻撃を実施したが被害は限定的だったうえに、イラン側が作戦を終えたとして事態の幕引きを図る考えを表明したことで上値は重かった。また、米CPIが予想を上回ったことで、利下げ期待が後退し米石油需要を押し下げる懸念も弱材料視された。16日はイスラエルの反撃待ちのなか模様眺めの展開。イスラエル軍が最終的な攻撃対応を決定したと伝わったことが相場を支えたが、パウエルFRB議長が利下げ開始先延ばしに言及したことで原油需要の鈍化が懸念され下押し圧力が強まった。翌17日は調整売りが強まり大幅続落。前日にパウエルFRB議長とジェファーソンFRB副議長が米政策金利を当面の間、据え置く方針を示唆したことで景気減速の可能性が意識されリスクオフの流れとなった。また、EIA統計で米原油在庫が273.5万B増と予想を上回ったことも弱材料された。翌18日は横ばい。イランとイスラエル間の緊張から原油はそれぞれの思惑で上下に激しく動いたが、ドル高も圧迫要因になり最終はほぼ変わらずで引けた。

原油チャート

 今週の原油相場はイランの動向次第となるか。イスラエルがイランを攻撃したことから原油市場の流れは一変し報復の連鎖を生むことが予想され、投機資金の流入も予想される。2国間の緊張が高まり、双方が攻撃を繰り返すような場合は前回の高値92ドルを突破し、95ドルを目指す展開になりそうだ。但しイランが自重した場合はテクニカルでは85ドルくらいまでの下落は想定される。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。