週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比0.21ドル高の84.08ドル、ブレント原油は1.39ドル高の89.57ドルとなった。

 前週末の海外原油は小幅高。イスラエルのイランに対するミサイル攻撃を受けて急伸したが、防空システムが作動し被害が軽微だったことに加え、イラン高官がイスラエルへの反撃計画はないと示唆したことから上値を削る展開となった。

 先週は米景気後退懸念が上値を抑えるも、イスラエルのガザ南部への地上侵攻の懸念が高まり反発基調の展開となった。週明け22日は中東情勢の緊迫感が後退し小反落。イスラエルとイランの報復の連鎖が途切れたことから利食い売り優勢で始まったが、北半球の夏場にかけて需給がタイト化していく見通しにから安値では買い意欲が強く下値を切り上げる展開となった。23日は反発。米国でウクライナやイスラエルを支援する950億ドル規模の法案が成立。米国による追加の後ろ盾を得たイスラエルによるラファ侵攻が警戒された。翌24日は米景気後退懸念から反落。EIA統計で米原油在庫は636.8万B減となったが、米ガソリン需要は日量873.3万Bと前年比33万B減となり石油需要の弱含みから景気見通しの不透明感が強まり相場を圧迫した。25日はイスラエルのラファへの地上侵攻の準備を進めていることで中東の地政学リスクが再燃し反発。ただ、今週にFOMCが控えており、一方的な上値追いにはなりにくい展開が続いている。

NY原油チャート

 今週の原油相場はガザを巡る緊張継続で高値トライの波乱含みな展開が想定される。WTI6月限は4月12日につけた一代高値86.97ドルを抜けるか否かが焦点。22日に200日移動平均近くの80.70ドルまで調整安となってから反発基調となっておりパレスチナ情勢次第で中東全体に戦火が拡大する懸念があり予断を許さない状況が続きそうだ。ただ、米国のインフレ圧力は根強く高金利が続く見通しの中、経済指標の悪化によりスタグフレーションが警戒されるようだと一気にリスクオフの流れになる可能性があり強気一辺倒にはなりにくい。目先はWTIで80-87ドルのレンジ相場を想定する。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。