NY金三角保合い下放れ後の見通し・戦略

著者:菊川 弘之
ブックマーク
 ウクライナ疑惑について、弾劾調査の公開段階に向かうロードマップが提示されたことに加え、トランプ大統領弾劾の訴追決議案採決と、上院での弾劾裁判が不可避となりそうだ。

 弾劾調査を進める米下院は来週、初の公聴会を実施する。13日には駐ウクライナ臨時代理大使のウィリアム・テイラー氏とジョージ・ケント国務次官補代理、15日にはマリー・ヨヴァノヴィッチ元駐ウクライナ大使の3人が証言する予定。

 この弾劾公聴会から目を逸らすために、株高を呼び込む米中貿易協議合意を妥協してでも、まとめようとする動きがあるかもしれないが、対中強硬政策は、共和・民主を超えて米国の国益として共通認識されており、米中間は一時的な休戦はあっても、今後長い期間に渡って終戦は訪れないだろう。

 また、ここにきて米国の核合意離脱対抗措置として、イランが地下核施設でのウラン濃縮活動を再開したと7日発表した。トランプ大統領の支持率が落ちてくるようなら、大統領選挙に向けて、中東リスクが急浮上する可能性も否定できない。

 今回の下げ局面で、これまで過去最高水準に膨れ上がっていた大口投機玉の買い越しは整理されると見られ、内部要因からは徐々に、新たな買いを入れやすくなる地合いとなるだろう。

 三角保合い下放れから下げ加速で、下値目標を達成してきた場合は、V字反騰もあり得るだろう。また、下放れたものの、心理的節目1450ドル水準で支えられた場合は、1450-1500ドル程度のボックス相場への移行も想定される。

 いずれにしろ、テクニカル面・内部要因主導で売られた安値は、新規で売り込むことなく、チャート上の底打ち確認後、買い主体の戦略を考えたい。
 

 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

https://www.nstrading.co.jp/

http://market-samurai.livedoor.biz/