週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比2.61ドル安の76.92ドル、ブレント原油は2.32ドル安の81.44ドルとなった。

 前週末はウクライナがロシアの製油所をドローン攻撃したと伝わったことが支えとなり堅調な推移となった。また、ドライブシーズンを控える中で原油消費量の拡大が期待されていることも支援材料となった。

 先週はインフレ圧力の強まりから米金利の高止まり観測が高まったことが重しとなった。週明けは複数のFRB高官が早期利下げに慎重な姿勢を示したことから米景気の悪化懸念が強まったことが重しとなった。また、ロシアが一時的にガソリン輸出を許可すると伝わったことも嫌気された。翌21日も根強いインフレ圧力で米景気が圧迫され、石油需要が落ち込むとの思惑が重しとなったほか、米政府がガソリン備蓄100万Bを放出したと伝わったことも嫌気され軟調な推移となった。翌22日はFOMC議事要旨において政策金利を高水準で維持することが望ましいとの認識が示されたほか、必要であれば追加引き締めにも前向きであると言及するなど、タカ派よりな内容であったことが嫌気される格好となった。また、EIA統計において原油在庫が予想外に増加したことも重しとなった。週末にかけても米総合購買担当者景気指数が堅調な内容となり、米金利が長期にわたり据え置かれるとの思惑が高まったことが重しとなった。


出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 米サービス業PMIは高い伸びとなり、製造業PMIも前月から上昇した結果、利下げ期待が遠のきドル高となった。複数のFRB高官からも根強いインフレ圧力から利下げに慎重な姿勢が示されており、原油は上値の重く85ドルを挟んだ値動きが想定されそうだ。一方で週後半は6月OPECの減産継続予想からレンジを切り上げる展開が想定される。ドル円相場については相変わらず円安基調は続き再度160円を試す動きが想定されそうか。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。