[Vol.1734] 2022年の金(ゴールド)相場は上昇・下落?

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。産油国会合への思惑などで。78.04ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,346.25ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。24年09月限は14,965元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年07月限は606.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1280.85ドル(前日比15.05ドル縮小)、円建てで6,537円(前日比30円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(5月27日 18時01分時点 6番限)
11,860円/g
白金 5,323円/g
ゴム 331.2円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス


出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「2022年の金(ゴールド)相場は上昇・下落?」
前回は、「西側と非西側の分断が原油高の遠因」として、「ESG」「SNS」が原油価格を高止まりさせた経緯について述べました。

今回は、「2022年の金(ゴールド)相場は上昇・下落?」として、金(ゴールド)相場の核心部を照らす問いについて述べます。

筆者は常々、金(ゴールド)は人を惑わす存在であると、考えています。歴史的には、人が金(ゴールド)の輝きに心を奪われてきたことや、人がそれに価値を見出して富の象徴としたことがきっかけで、しばしば争いが勃発したことなどが挙げられます。近年では、世界で不安が台頭したことを一因として異常なまでの急騰劇を演じたことや 戦争が勃発した年に意外な値動きを見せたことなどが挙げられます。

ここで、金(ゴールド)相場の核心部を照らす超良問を示します。近年、戦争が勃発した年に意外な値動きを見せて人(多くは市場関係者)を惑わしたことと関連しています。その問いとは、「2022年の金(ゴールド)の国際相場は上昇したでしょうか?下落したでしょうか?」です。

同年2月にロシアがウクライナに侵攻して通年で世界全体が強い戦争のリスクを感じた「あの2022年」です。「戦争勃発=金(ゴールド)上昇」、「有事の金(ゴールド)買い」など、過去の出来事や言い伝えを知っている複数の市場関係者は、あの2022年の金(ゴールド)相場は上昇したと口にしました。(筆者はこれまで、関係者との雑談でこの質問をし、多く方が上昇と答えたのを見てきました)

この問いの答えは、以下のとおり下落(1820.1ドル→1812.35ドル)です。下落なのです。「あの2022年」の金(ゴールド)相場は、下落したのです。円建て金(ゴールド)は急速に進んだ円安の影響で上昇しましたが、世界の中心である国際相場は下落しました。当時、円建て金(ゴールド)価格の上昇は戦争がきっかけだ、という説明が散見されましたが、上昇局面の多くは円安によるものでした。

図:金(ゴールド)相場の核心部を照らす超良問


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。