[Vol.1751] 投機資金の原資はまだまだ潤沢

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。80.56ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの反発などで。2,345.30ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年09月限は15,015元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年08月限は614.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1359.55ドル(前日比10.15ドル縮小)、円建てで6,860円(前日比10円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(6月19日 18時01分時点 6番限)
11,858円/g
白金 4,998円/g
ゴム 331.0円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY銅先物(期近) 日足  単位:ドル/ポンド
NY銅先物(期近) 日足  単位:ドル/ポンド
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「投機資金の原資はまだまだ潤沢」
前回は、「変動幅拡大・底値切り上げがポイント」として、非鉄金属価格が長期視点で高騰している理由について述べました。

今回は、「投機資金の原資はまだまだ潤沢」として、FRBの資産の額について述べます。

以下は、米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)の資産の額の推移です。足元の水準はリーマンショック直前の7倍程度であることが分かります。

2008年のリーマンショックや2020年のコロナショック後、FRBは急激に傷んだ景気を回復させるべく、大規模な金融緩和を行いました。中央銀行の緩和策は大きく二つあり、一つは金利引き下げ(まさに今議論されている)、もう一つは米国債などの資産の買い取りです。

FRBの資産の額を示す同グラフは、FRBがどれだけ資産を買い取ったのかを示しています。FRBが金融機関などから米国債を買い取ると、FRBの資産が増えます(グラフが上向く)。同時に、金融機関が保有する資金が増えます。この増えた資金がいわゆる「投機資金」の原資になります。つまりこのグラフは、金融機関が保有している投機資金の量を示しているともいえます。

現在の水準は先述のとおり、リーマンショック直前の7倍程度です。コロナショック後に行われた資産の買い取りが終了し、今は逆に資産の売却が進んでいますが、それでもまだ高水準です。

隙があれば流入して利益を上げようとする投機資金の存在によって、銅や非鉄相場は、まだしばらく変動幅が大きい状態が続く可能性があります(流出した場合は相場急落が起きる可能性もある)。

図:FRBの資産の額 単位:10億ドル
図:FRBの資産の額 単位:10億ドル
出所:FEDERAL RESERVE SYSTEMのデータを基に筆者作成

 

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。